IFエンド 「シュテル・スタークス」
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アーチェがショウのことを想っていることを。
私にとってディアーチェは恩人であり、誰よりも幸せになってほしいと思う相手。なら自分の中にあるショウへの想いは邪魔になる。
故に私が自分の気持ちを表に出さなければ、このまま未来永劫に隠し続ければいいだけなのだと。これでディアーチェは幸せになれる。きっと恥じらいながら近いうちにショウへ想いを伝える話をするだろう、と思った。けれど……
『シュテルよ……我は惚けるなと申したはずだが?』
向けられた目には憤怒の光が宿っていた。どんなに記憶を辿っても、ディアーチェからこれほど鋭い視線を向けられたことはない。ディアーチェが怖いと思ったのはこの日が初めてだ。
『そちらこそ何を言っているのです……惚けてなんかいませんよ』
『ならば何故目を背ける? 本心で言ったことならばその必要はないはずであろう。……まあ良い、貴様がそのつもりならばそれで構わん。……シュテル』
『……何です?』
『我は、ショウへ想いを告げる』
ずっと待ち望んでいた言葉。なのに……私の心に響いたのは何かが割れるような音だ。喜びなんてない悲しくて切ない痛み……それでも
『そう……ですか。良いと思いますよ。私の目から見てもお似合いだと思いますし、何よりディアーチェは昔からショウのことが気になっていましたからね。手伝えることがあれば何でも手伝います……』
それ以上言うことは出来なかった。
何故なら……私の左頬に鋭い痛みが走ったからだ。一瞬何が起きたのか分からなかったが、視界に映っていたディアーチェの右手を見て状況を理解する。私は彼女に思いっきり頬を叩かれたのだと。
『……何を……するのですか?』
『決まっておろう、貴様との決別だ』
『決別……?』
『そうだ。今日限り貴様は我が友ではない』
ディアーチェの言葉が理解できない。いや、理解したくなかった。だって彼女は私にとって大切な友達なのだから。
『何を……言っているのですか? 冗談にしては性質が悪すぎますよ?』
『冗談ではない』
『なっ……何故? 何故なのですか! どうして急にそのような話に……!?』
『何故? どうして? ……だと。……ふざけるのも大概にしろ、このうつけ!』
鋭利な視線が私を射抜く。自分が弱者なのだと理解させられそうな絶対王者の雰囲気に私は身動きを取ることができない。
『貴様は、我を己が想いもひとりでは伝えることができない情けない女だと思っておるのか!』
『そ、そのようなことは……』
『それだけではない! いや、我が怒っておるのはむしろこちらの方だ。シュテル、貴様は我に本心を隠すだけでなく……己が想いを偽り、我の恋を応援すると言ったのだ』
『…………』
『貴様は負けず嫌いだが肝心な部分は我を立てよ
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