657部分:第九十四話 最強の聖闘士その四
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第九十四話 最強の聖闘士その四
「私の技を相殺したことはだ」
「いや、相殺ではない」
だが童虎はそうではないというのだった。
「このわしにまで衝撃が来た」
「それはこちらも同じこと」
今度はにこりともせずその小柄な老人に言葉を返した。
「影であってもそれは貴様そのもの」
「左様。わしの影はまさにわし自身」
それは彼そのものだというのだ。今闘っているその影の男はだ。
「この影が敗れればわしも倒れる」
「そしてその力も貴様自身のものだ」
キュドイモスはこうも言ってみせた。
「だからこそ。今私の攻撃を相殺したのもだ」
「どうじゃというのじゃ?」
「貴様の力そのものだ」
まさにそうだというのだ。
「ライブラ、貴様のな」
「ふむ、左様か」
「流石は先のハーデス様との聖戦の生き残りだ」
またこのことを彼に告げるのだった。
「私の技を打ち消すことができる人間がいるとは」
「しかし」
「何だ、今度は」
「その技が全てでないことはわかっておる」
童虎は今度はこう言った。
「既にな」
「そうだな。思えばだ」
ここで左手を見た。そこではキュドイモスとかつての童虎が闘っている。その時は名前が違えどそれは確かに彼であった。二人の戦いだった。
「その通りだな」
「あの闘いだけではない」
童虎はさらに話すのだった。
「わし等はこの聖戦の時にも何度も拳を交えている」
「だからこそわかるのだな」
「左様、記憶はある」
「では、だ」
「その技を次には出すのだな」
「聖闘士には同じ技は通用しない」
キュドイモスの言葉である。聖闘士である童虎の言葉ではなかった。
「そうだったな」
「その通り。そしてそれは」
「我等も同じだ」
それは彼等もだというのだ。キュドイモスに限定した言葉ではなかった。
「我等もまた一度見た技は忘れはしない」
「左様か」
「それではだ」
拳を構える。そうしてであった。
「このキュドイモスの拳を再び受けてみせよう」
「来るというのじゃな」
「このキュドイモスは混乱の神」
その混乱という言葉も出すのだった。
「混乱を見せてくれよう」
「そうじゃな。それではじゃ」
「この技は今の貴様は見てはいない」
今の彼はというのだ。かつての彼ではないというのだ。
「そうだったな」
「如何にもな」
「先程の技にしてもだ」
その昇龍覇である。
「あの時とは違っていたな」
「ふむ。気付いていたのか」
「言った筈だ。我々にも一度見た技は通用しない」
「そうじゃったな。それは」
「あの技はかつてのあの技ではない」
今二人がいるその時代での昇龍覇だというのだ。
「それがよくわかった」
「では御主の今放つ技も」
「そうだ、この技で貴様
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