出撃・礼号作戦!〜親善観艦式、そして……〜
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晩餐会の翌朝、早朝に叩き起こされた俺達は観艦式の会場の変更を告げられた。横須賀の湾内でやる予定だったが、急遽千島列島の北端にある幌筵(ぱらむしる)泊地に会場が変更になったというのだ。
『あのジジィ、何企んでやがる……』
寝起きの呆けた頭を無理矢理コーヒーで覚醒させ、金剛を始めとする艦娘達を起こしにかかる。まぁ、翔鶴と瑞鶴は同じ部屋に居たから楽だったが。……理由?察してくれ。全員が揃った所で会場変更の旨を通達、手早く準備をさせる。そして昨日移動に使った二式大艇に乗り込み、再び空の人となった。
「幌筵って珍しい読み方ネー……方言?」
「に近いかな?語源は確か先住民族のアイヌ語で……大きい島とか広い島、って意味だったかな?」
太平洋戦争中は陸軍・海軍両方の拠点としてかなり大規模な施設だったらしい。かの有名なキスカ島撤退作戦の出発地としても有名だな。戦後はロシア軍が駐留して実効支配していたーー所謂北方領土だな。深海棲艦の出現で駐留していた軍が逃げ帰った所に日本政府が掠め取るような形で取り返したらしい。火事場泥棒のような形になってしまったが、ロシアも返還要求に応じてなかったからな、お互い様って奴だろう。
やがて大艇は降下体勢に入り、スーっと水面を滑るように着水した。初めての幌筵泊地に降り立った俺達。
「さ……さぶっ!」
横須賀や故郷の岩手よりも余程寒い。流石はロシアやアラスカと同じ位の緯度に位置する鎮守府だ。艦娘達は北方海域に出撃し慣れているせいか、凍えている者はいない。
「いやぁ、済まんな。急遽の会場変更で。」
泊地の方から元帥のジィさんと三笠教官が歩いてくる。いきなりの会場変更のせいで早朝に叩き起こされた俺は怒り心頭で近付いて、
「おいジィさん、何のつもりだこりゃ?大本営に無理矢理連れてこられたと思ったらいきなり幌筵なんて北の外れに移動させやがって!」
「いや、諜報部から報告があってな。観艦式が奇襲される、とな。」
それは聞き捨てならない。何せ参加するのはウチの艦隊だ。
「深海棲艦か?それとも……」
「それは解らん。いや、或いは共同戦線を張って両方か……。」
あり得なくは無い話だ。過去にもあった事だからな。それも、俺の守るブルネイの地で。俺が赴任する前の事だが、大規模な戦闘があったと聞いている。
「成る程な、念には念をってワケか。」
「それに、軍の上層部に『ユダ』が居るかもしれん。」
元帥のジィさんはそう言って、一層声を潜めた。イエス・キリストを銀貨30枚で売ったとされる裏切り者……ユダ。お偉方の中に敵方と通じている者が居るとすれば一大事だ。
「その為に急遽会場を変えさせてもらった。ここに呼んであるのはイタリアの
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