656部分:第九十四話 最強の聖闘士その三
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第九十四話 最強の聖闘士その三
「悟りを得れば様々なことがわかるというがな」
「そして力もじゃな」
「こうして過去の世界に行くこともだな」
「そうじゃな。しかしじゃ」
「我等はこの世界にいるがいないとも言える」
キュドイモスの言葉が謎めいたものになった。
「そうだな」
「左様。この世界に干渉はできん」
童虎もそれはできないというのだ。
「しかしじゃ」
「ここで闘うことはできる」
「我等だけはな」
「それではだ」
キュドイモスの言葉に剣が宿った。
「ライブラの聖衣を身に着けるのだ」
「今のわしはそれはできん」
「何っ!?」
「わしの身体が着けることはできん」
それはできないというのである。
「それはじゃ」
「ふむ。実体ではか」
キュドイモスは彼のその言葉を受けても冷静だった。そして静かにこう述べたのである。そうしてそのうえでまた言うのであった。
「ならばだ」
「それでよいというのじゃな」
「本来ならば実体でなければ完全な実力は出せない」
それは無理だというのだ。
「だが。ライブラよ」
「うむ」
「貴様程の力の持ち主ならばだ」
その童虎を見据えてまた言ってみせたのである。
「それも可能だ」
「実体でなくとも本来の力を出すことが」
「そうだ。可能だな」
再度彼に対して問うたのだった。
「貴様ならばだ」
「確かに」
そして童虎は偽らなかった。ありのまま答えてみせたのだ。
「それはできる」
「ならば問題はない。来るのだ」
「ではじゃ」
こうしてライブラの聖衣が現われた。それが突如出てきた影の身体を覆ってである。そのうえで姿を現わしてみせてきたのである。
その男を前にしてだ。キュドイモスは満足した顔で笑ってみせた。
次にはだ。左手を爪を立てる獣のそれのようにして前に出して構えてである。右手を引いて言うのだった。
「ではだ」
「うむ。行くぞ」
「受けるがいい」
キュドイモスの方からだった。仕掛けてきたのは。
「我が拳」
「来たか」
「クリムゾンファング!」
言葉と共に技を繰り出してきた。その左手を上から下に大きく一閃させる。するとそこから五つの赤い光が発して。影の男に襲い掛かったのである。
「これが貴様に避けられるか!」
「ならばじゃ」
童虎が言った。影の男に代わって。
その言葉と共にであった。不意に影が動いたのだ。
「むっ!?」
「我が技」
影は彼の言葉に合わせるように動いてきた。そして右手を下から上に大きくやり。
「廬山昇龍覇!」
その言葉と共に龍を放った。それはまさに神龍だった。
そしてその龍でキュドイモスのその爪の刃を打つのだった。
爪と龍が激突してだ。残ったものは。
「何と・・・・・・」
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