ちょっとだけ、提督の昔話
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いとは言えん、か。まぁエエわい。
「先程テレビに向かってなってないと叫んでおったが、何がなってないんじゃ?」
「だってよぉ、指揮がお粗末過ぎるだろうよこれじゃあ。」
ふむ、何と無くはわかっておるのか?
「何処が悪い?」
「まず、敵艦隊に2時方向と11時方向から挟み撃ちにされそうになってんだろ?それなのに艦隊を分散させちまった。これは頂けねぇ。」
「ほぅ?なんでじゃ、挟み撃ちというのは具合が悪かろうて。」
「まぁ、確かにな。けどよ、こっちは6隻、相手は12隻だ。6対6で漸くトントンの相手に、3人ずつで別れちゃあどっちらけだ。」
ほぅ、わかっておる。確かに挟撃に対して艦隊を二分するのは下策。撃破出来る者も撃破出来なくなる。ベストを上げるならば各個撃破が上策。しかし……
「ならば、どちらを狙う?」
「あ?そんなの決まってらぁ。2時方向の艦隊だ。」
「ほぅ、してその理由は。」
「随分疑問の多いジィさんだな。答えは簡単、敵艦隊の中に空母が居るからよ。」
「じゃが、そっちの艦隊には戦艦もおるぞ?戦艦の砲撃は脅威じゃろうて。」
「俺はこの海戦を最初から見てたけどよ、最初にこっちの艦隊を見つけたのは戦艦と空母のいる艦隊だった。けどな、後から11時方向からもう1つ艦隊が割り込んで来たら空母が逃げ始めた。」
む、そこまで、見えておるか。
「空母ってのは戦艦よりも高い攻撃力を出せる。まぁ、例外も居るがな。戦艦や重巡を潰してでも空母を守ろうとしてやがる。なら、最優先でぶっ潰すべきは空母だ。」
「戦で勝つ、ってのは目先の勝利に惑わされちゃいけねぇ。長い目で見てどれだけ相手に深手を負わせるか。そっちの方が大事なんだが……どうにも、この艦隊の指揮官様は解ってねぇようだったんでな。」
ヘッ、と笑って若いのは缶コーヒーの中身を飲み干すとよっこらせと立ち上がった。
「若いの、どこで仕事をしておる?」
「あ?2階の突き当たりの『施術室』だよ。てかジィさんこそ何者だよ。」
「儂か?儂は……ただの将棋好きのジジィじゃよ。またな、“坊主”。」
思わぬ所に掘り出し物が転がっておった。儂の心中はそんな状態じゃった。
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