ちょっとだけ、提督の昔話
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という名の拉致をされたのは今から約20年前の事だ。
「あ、あの〜?」
今まで黙り込んでいた金剛が、申し訳なさそうに口を開いた。
「ん?どした金剛。」
「darlingと元帥閣下が昔から知り合いだったのは解ったデス。けど、何でdarlingはテートクになったんデス?」
俺とジィさん、思わずキョトンとしてしまった。
「なんじゃお主、伴侶となったおなごにも話しておらんかったのか?」
「だってよ、話す程の話じゃねぇでしょうが。」
昔のジィさんとの出会いの話なんざ、誰が聞きたがるのか。そう思って誰にも好き好んで話した事は無かった。しかし嫁さんはそうでもないらしく、興味津々といった感じで俺達の話を聞こうとしている。仕方ねぇ、じゃあ話してやるか。
「大して面白い話でもねぇんだがなぁ……」
俺とジィさんとの出会いは……20年以上前になるか?俺は二十歳そこそこ、独立開業したばっかの整体師でな。たまたま横須賀鎮守府の中で診療しては貰えないかと誘われて、これ幸いと飛び付いて、ここで艦娘やら事務方の提督もどきを施術してたんだ。
「テートクってホントにコックじゃなかったんですネー……。」
「んだよ、信じてなかったのか。」
話を進めるぞ。その頃は国内の主な鎮守府はどうにか確立出来てな、漸く国外の鎮守府設立案が出始めた頃だった。そんなご時世だったからな、優秀な指揮官を一人でも多く確保したい。そんな時だった、てのはジィさんの談。
「では、ここからは儂が話すとしよう。」
そう言うのでジィさんに語り部を替わる。
ちょうど、昼食を済ませて部屋に戻る途中じゃった。職員の休憩スペースには戦意高揚を図る為にとテレビが置かれてな。航空偵察機が撮影していた海戦の様子を流していた。しかし職員にとっては物珍しい物ではなく、寧ろ二つの敵艦隊に挟撃されようとしておる味方艦隊に、非難の視線すら向けている者までおった。
『やれやれ、このようなお粗末な艦隊指揮では……』
そう思った時じゃった。
「あ〜あ〜、なってねぇなぁ。それでもホントに大学出のエリートかよ、オイ。」
イスにふてぶてしく座り、缶コーヒーをすすりながらテレビに向かってヤジを飛ばす巨体の男……目の前に座っておるこ奴と、儂の初めての出会いじゃった。
「なぁジィさん、もう止めない?昔の恥を曝されてるみたいでヤなんだけど。」
「嫌じゃ。」
キッパリと断言されてしまった。
話を続けよう。儂は思った。この男はただヤジを飛ばしているだけなのか?それとも、この指揮の問題点が解っているのか?尋ねてみたくなった。
「のぅ、お若いの。」
「あん?誰だジィさん。」
目上への態度は宜し
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