第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#37
星魔の絶戦 千変VS星の白金X〜Native Stranger〜
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信頼とも云える実感が
ブレずに心中を充たしていた。
誰にでも有る英雄願望、しかし問題はその “持続力”
刹那の一時ではなく、僥倖に守られた一機ではなく、
苦痛、徒労、虚無、迷妄、それら負の奔流の中へ恒常的に身を浸し、
そして乗り越えた者にしかソレを抱く資格はない。
世の中が次第に 『甘ったれた方向』 へと変わってきているので
勘違いしている者が多いが、戦場には 「強き者」 或いは 「勇気ある者」
それ以外に居場所はない。
子供の児戯ではないのだ、
男の闘争に観覧席は存在しない。
(感謝するぜ……! この国でテメーに逢えた、 『運命』 のスベテに……ッ!)
毟られ炙られた疵痕の苦悶もそこそこに、無頼の貴公子は口中を軋らせた。
まだ終わらない、終われない、永遠に戦っていたい、
勝敗など度外視した高揚が彼の精神を揮わせた。
対するシュドナイもまた同様、己を殺しにかかる仇敵に
愛情とは全く異なる交誼を感じていた。
昨日までの彼ならば決して至らない、尚早ともいうべき決断。
しかしその 「賢明さ」 こそが本来の存在との大いなる乖離を生じさせ、
際限なく己を弱体化させていたコトに気づいた彼に躊躇いはなかった。
自分の、真実の姿を顕すソノ事に。
「グウウゥゥゥ……オオオオオオオオオオォォォォォォッッッッ!!!!」
呻くような声の後発せられた咆吼、同時に紫の濁炎が暴威を露わに吹き荒ぶ。
「――ッ!」
頬を叩く熱気にスタープラチナが視界を防ぐ随に、
その存在は承太郎の前に姿を顕していた。
虎の顔面、頭部に漆黒の鬣と螺旋状に切削された双角を生やし、
その胴体は狒狒のソレ、対照的に異常膨張と圧搾を繰り返した剛腕、
猛禽の両脚、先刻の翅翼に垂らした尾は禍々しき毒蛇。
その形容は異幻獣等という生易しいものではない。
日本最古の書物 『古事記』 『万葉集』 果ては
『平家物語』 『源平盛衰記』にもソノ存在が記された
“鵺 ” 或いは “雷 獣” と呼ばるるモノ。
歴史とソレに如何なる関連性が有るかは不明だが、
少なくとも何らかの大災厄、悲惨劇が在った事は間違いないだろう。
人は恐怖を具現化し、“まやかし” でもその存在を打ち砕かなければ
意味無き不条理に堪えられない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!!!!
闘争の最高潮が否応にも予期された。
先刻までの死線の数々、シュドナイは確かに
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