654部分:第九十四話 最強の聖闘士その一
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第九十四話 最強の聖闘士その一
最強の聖闘士
五老峰。そこにもであった。
赤く禍々しい小宇宙が出て来た。そのうえで老人に対して問うてきたのである。
「私が誰かはわかるな」
「うむ」
小柄な老人であった。彼は流れ落ちる滝を背に岩場の先にうずくまる様にして座っている。その彼が男の問いに静かに答えるのだった。
「混乱の神キュドイモス」
「その通りだ」
まさにそうだと。老人に名乗るだった。
そうしてそのうえでだ。その混乱の神キュドイモスは老人に対して問うのだった。
「そしてだが」
「次は何なのじゃ?」
「私がここに来た理由もまたわかるな」
「闘いじゃな」
「それもまたわかるのだな」
「それだけ禍々しい小宇宙を出していてじゃ」
老人が言うのはキュドイモスのその小宇宙だった。それは八大公のそれすらも遥かに凌駕するとてつもなく禍々しいものであった。
そしてその小宇宙を見てだ。老人も言ったのである。
「わからぬ筈もない」
「言われてみればその通りだな」
「そうか。闘いか」
「貴様を倒し封印を解く」
キュドイモスは老人を見据えて告げた。
「そしてそのうえでだ。あの方もこの世界において頂くのだ」
「アーレスだけではなくか」
「アーレス様は言うまでもない」
彼等の主についてはというのだ。彼の復活については彼等は当然のことと考えていた。そしてそれを隠すことすらしなかったのである。
「当然この世界においで頂く」
「アーレスだけで満足はできぬか」
「我等はあの方には神話の頃よりよくして頂いた」
話が遡った。遥かな神話の時代にである。
「そういうことだ。わかったな」
「ふむ。ではどうしてもじゃというのだな」
「無論貴様がそう簡単にここを退くとは思っていない」
それはキュドイモスもわかっていた。すべて読んでいるのである。
「その為にもここにいるのだからな」
「左様、わしはここを退きはせぬ」
それは老人自身も述べた。
「何があろうともな」
「先のあの方との聖戦の生き残り」
キュドイモスの言葉がさらに強いものになる。そしてその声で老人に対して言うのであった。その言った言葉とは。
「ライブラの童虎よ」
「名を呼ばれたのも暫く振りじゃな」
「戯言を。貴様を知らぬ者はない」
その童虎を見据えての言葉だった。
「誰一人としてな」
「誰一人としてか」
「そうだ、貴様がここにいることもだ」
それについてもだというのである。
「誰もが知っている。トラキアにおいてもだ」
「そして四闘神自ら来るとはのう」
「黄金聖闘士の中でも最強の力を持つ男」
そここそが童虎だというのである。彼の目の前の老人だというのである。
「今ここで倒させ
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