第39話 勘違い
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
親切に教えてあげようと思ったのにね。残念だわ」
「もういいだろツバサ。これ以上は酷だ。彼にとっても、μ'sのみんなにとっても」
「そうね。確かにまだ話したいことがあるし、これ以上高坂さんから敵対心剥き出しにされても困るもの」
頃合いを見て統堂英玲奈は綺羅ツバサを制する。まだ話すことがあると聞いただけで気分は鬱になる。こんな戦場のような雰囲気で、一体何を話すというのだろうか。殺意すら持っていそうなμ'sリーダーを一度宥めて、席に座らせる。
「ふぅ〜。それにしても残念ね。私の事ちっとも覚えてくれてないなんて。高坂さんは何故か怒ってるし、別に悪い事なんてなにもしてないのよ?」
息を吹いた綺羅ツバサはいじけた感じの口調で肩から力を抜き、スプーンでくるくると弄ぶ。
「ただ私はずっと憧れていた好敵手に会って話がしたかっただけなのよ?」
「話がしたかった、だって?」
ええ、と頷いて立ち上がる彼女を見てるとただの女の子のように思えてくる。
「綺羅ツバサ、貴女は知ってるんじゃないのか?」
「知ってるって、何をかしら?」
可愛らしくきょとんと首を傾げる姿を見て、まさかと思った。だから俺は確認の意味を込めて綺羅ツバサに質問する。
「1つ、質問いいっすか?」
「どうぞ?」
「あー、いや。俺は持病を抱えていて、それについて遠まわしに聞いてる......んですよね?」
「持病?笹倉君は持病持ってるの?どんな病気?あ、もしかしてダンスしてない理由ってその病気のせいなの?」
「......あー」
...や っ て し ま っ た
「え?どうしたの大くん」
「......なんでもないから今すぐツバサさんに謝れ穂乃果」
「え?なんで」
「いいから」
自分がなんて失礼な誤解をしてしまったのか。てっきり綺羅ツバサは俺が記憶喪失になっていることに勘付いているとばかり思っていたが、全然そうではなく、ただ純粋に俺が綺羅ツバサの事を忘れてしまったことに物申したかったらしい。神様、穴があったら入りたいです。いや、入らせてください。
「......まぁ、思い出したんだけどね。そういえばおでこの広い女の子と話したことあるなーと思って」
「あら?私のおでこはチャームポイントなんだけど?」
わざわざただでさえ短い髪をよけて自慢のおでこを見せつけてきた。そして、ドヤ顔付き。アイドルとしては果たしてどうなのだろうかという光景なのだが、それはそれとして。
「......もう、帰っていいですか?」
面倒くさくなったので早く帰りたいと思った俺だった。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ