第43話『災厄』
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かに逃げるだけだが・・・」
「どっちに行っても変わんないんだよね」
「そこが地味に厄介だな…」
流れでユヅキとラグナの話を聞いていると、どうやら東西のどちらに逃げるか迷っているらしい。確かに、どっちにも可も不可もないのなら決め難いというもの。
けれども、ここは一点突破で行くしかない。
「じゃあ東に行きましょう!」
「ん? 何でだ、ハルト?」
「迷ってても仕方ないじゃないですか! どっちに行っても変わらないんですよね?」
「あぁ…まぁ。でも何で東だ?」
「適当ですよ、そんなの」
晴登の最後の発言に、ラグナは苦い顔をする。
「勘」という理由は、それほどまでに頼りにならないだろうか。晴登がどう言葉を繋げるか迷っていると、
「いいじゃんラグナさん。どうせ決め手はないんだし」
「ぐ……そうだな、迷う時間はねぇんだったよな。わかった、ハルト。東に行こう」
「はい!」
自分の意見が通ったことよりも、ラグナの表情が綻んだことが、晴登は嬉しかった。ユヅキのフォローに感謝しないと。
晴登はユヅキを向き、礼を言おうとすると、
「グルル…」
「「「なっ!?」」」
突然に背後から聞こえた唸り声。それには聞き覚えがある。
振り返って見ると、案の定1頭のウォルエナがこちらに近づいてきていた。
距離は約5m。いつの間に接近されていたのか。
目を血走らせて睨みつけてくるウォルエナは、先程見たサイズより若干デカい気がした。
・・・ということは、危険度が大分上がっている。
ユヅキとまた共闘するか? けど、さっきみたいに上手くはいかないかもしれない。
ラグナは、戦えるのかもよくわからないし・・・
「お前ら、下がれ」
「え?」
そう考えていた矢先、誰かの腕が晴登の行く手を阻んだ。
見ると、指をポキポキと鳴らしながら準備運動を始めているラグナの腕だ。
「ラグナさん!?」
「大丈夫、心配すんな。大人をナメんなよ?」
晴登の心配を振り払い、彼は構える。
驚くことに、その構えからは寸分の隙も感じられない。素人目の晴登でも、「ラグナは戦える」とわかった。
「お前らは先に行け」
「え、いや…」
「いいから行け。ここは俺が死守する」
典型的な死亡フラグに、晴登は一瞬困惑する。
が、実際にそんなことを言われてノコノコ逃げる訳にはいかない。
「3人で戦った方が楽に勝てますよ!」
「それじゃダメなんだ。お前らは先に逃げろ。これは店長命令だぞ」
「そんなの、今は意味なんて…」
「あぁもう、たまにはカッコつけさせろよ。大人の甲斐性ってやつを見せとかねぇと、お前
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