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Three Roses
第二十五話 最後の言葉その五

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「王国とはだ」
「決してですね」
「手を結ばない」
「そうあるべきですね」
「若し手を結ぶ者がいれば」
 太子の目は鋭いままだった、その目のまま語る。
「わかるな」
「はい、国を売った者」
「その者としてですね」
「裏切り者として処断する」
「そうなりますね」
「その者は容赦しない」
 太子はこのことには厳しく言った。
「我々の敵なのだからな」
「紛れもなく、ですね」
「王国は」
「そうなりますね」
「そうだ、あの国はだ」
 彼等はというのだ。
「正真正銘のな、異教徒達とさえ手を組むのだ」
「神の信仰を口にしつつ」
「異教徒達の手引きまでしてですね」
「帝国を脅かしていますね」
「太子のお国を」
「帝国にもいる」
 他ならぬ彼の国にもというのだ。
「王国と結ぶ者がな」
「そしてそうした者はですね」
「帝国においてもですね」
「常にですね」
「処断されている」
「そうされていますか」
「内密に処理される場合もあればだ」
 暗殺である、この場合の処理とは。
「表立ってだ」
「処刑される場合もありますね」
「どうなるかはその都度違いますね」
「しかし国を売る者は許されない」
「このことは絶対ですね」
「そうだ」
 その通りという返事だった。
「だからだ」
「この国においても」
「許されることなくですね」
「探し出し見付ければ処断する」
「例外なく」
「あの国は蜘蛛だ」
 太子は王国をここでもこう例えた。
「あらゆる手段を尽くして策で絡め取ろうとしてくる」
「北の王国や島国にも手を回していましたし」
「そのうえで我が国とも戦わせていましたし」
「半島にもそうしていましたし」
「我が国に直接仕掛けてもきました」
「それならばですね」
「今も同じだ、この国いも帝国にもだ」
 双方にというのだ。
「策を弄してくる、それならばだ」
「王国の策にはですね」
「かからない様にする」
「通じる者は許さない」
「そういうことですね」
「異端や新教の者達はいいのだ」
 実のところというのだ。
「別にな。しかしだ」
「王国と結ぶ輩は、ですね」
「違いますね」
「真の癌はあの者達ですね」
「まさに」
「そうだ、我々はだ」
 まさにというのだ。
「王国と結ぶ者こそを警戒すべきなのだ」
「このことはマイラ様にも申し上げておきますので」
 司教の言葉だ。
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