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Three Roses
第二十五話 最後の言葉その四

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「ある様になる、だからだ」
「我等は、ですか」
「我等は兵を持たず」
「そうして」
「我等の仕事に専念すべき」
「そうなりますか」
「東方の帝国だが」
 太子は彼等にとっては遥か東にある、見たこともないその広大かつ強大な国のことも旧教の諸侯達に話した。
「貴族達は兵を一切持っていない」
「一切ですか」
「そうなのですか」
「全て国が持っている」
 そうだというのだ。
「即ち皇帝がな」
「皇帝の軍ですか」
「全ての兵が」
「それは凄いですね」
「国の全ての兵が皇帝の下にあるとは」
「百万の兵がだ」
 太子はその数も話に出した。
「皇帝の下にあるのだ」
「百万ですか」
「百万とはまた」
「それだけの兵は神を信じる全ての国を合わせても」
「果たしてそれだけいるかどうか」
「そうだな、あの国は桁fが違う」
 東の帝国、その国はというのだ。
「異教徒達よりも巨大かも知れない」
「全くですね」
「かつて東から騎馬の者達の帝国が来ましたが」
「大陸の東の部分をも征服しましたが」
「あの国と同じだけの力がある」
「そうかも知れないですね」
「そうかもな、その国では皇帝が極めて強い力を持っている」
 まさにというのだ。
「それもだ」
「百万の兵を持っている」
「それ故にですね」
「その百万の兵が皇帝の下にある」
「だからこそ」
「それでだ」
 太子は東の帝国から自分達に話を戻した。
「我々もだ」
「これからは、ですか」
「軍を国のものとする」
「全ての兵を王の下に」
「そうあるべきですか」
「力は分けない」
 それぞれの諸侯まではというのだ。
「そうする」
「わかりました、では」
「その様にして」
「そしてですね」
「王国に向かうのですね」
「王国も同じだ」
 彼等の共通の敵であるこの国もまた、というのだ。
「あの国は王と諸侯達が争っているが」
「しかしですね」
「それでもですね」
「王の下に力を集めてきている」
「軍もまた」
「そうしているからだ」
 それ故にというのだ。
「我々もだ」
「我が国も」
「そうして力を集め」
「王国に対する」
「そうしていくのですね」
「その通りだ、そして間違ってもだ」
 太子の目がここで光った、剣呑に。
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