第二十五話 最後の言葉その二
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「あの地域は教皇庁の忠実な僕となった」
「疑う者は殺され」
「生き残った者も恐怖のあまりですね」
「そしてそうなった」
「そうでしたね」
「そうだった、しかしだ」
このことからまた言った太子だった。
「このことについてどう思うか」
「はい、あまりにも酷いです」
「やり過ぎというものではありません」
「幾ら何でも関係ない者まで殺すとは」
「それは非道です」
「あってはなりません」
「そうだ」
まさにとだ、太子も言う。
「だからこそだ」
「異端についてはですか」
「武力はですか」
「兵を用いて動くことはならない」
「信仰においては」
「無駄な労力を使うだけではない」
戦いをこう言うのだった。
「無用な血も流れる、大切な民達も減る」
「だからこそですか」
「太子としてはですか」
「兵よりも教え」
「それで新教徒に向かうべきですか」
「教皇庁はそれをしない」
彼等はというのだ。
「異端は抹殺する」
「異端としてですね」
「先程の十字軍の様に」
「兵で殺すか異端審問にかける」
「どちらかですね」
「それはしない、民の中には愚かな者もいてだ」
このことも踏まえている太子だった、彼が大事に思っている民もその中にはよからぬ者も含まれていることもだ。
「不安に苛まれてだ」
「その捌け口をですね」
「探している」
「だからこそですね」
「魔女を探し殺させる」
「不満の捌け口を求めているのですね」
「それは信仰に向けるべきだ」
是非にというのだ。
「不安に苛まれるのならな」
「罪のない者を魔女として喚くのではなく」
「信仰ですね」
「それに目を向けさせるべきですね」
「そうした者達こそ」
「まさにだ、愚か者達にもだ」
まさにというのだ。
「旧教の教理の正しさを知らしめる為にもな」
「是非共ですね」
「あらためて旧教を学び」
「そしてですね」
「新教に勝ち」
「旧教の正しさを知らしめ」
「不安を持つ民達にも」
旧教の諸侯達も言う。
「旧教の素晴らしさを見せるのですね」
「それが太子のお考えですか」
「兵よりも」
「そうだ、兵はだ」
まさにというのだ。
「それは使うものではない、兵は他のことに使うべきだ」
「是非ですね」
「では我々はです」
「旧教の教理を徹底的に学ぶ」
「新教のそれと共に」
「そうだ、教理には教理だ」
まさにというのだ。
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