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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十五話 余波
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って誕生まもない帝国は間違いなく混乱しただろうし、場合によってはアレクサンダー大王死後のマケドニアのように部下達によって分割された可能性もある。アレクサンダーには子供がいたが全て殺された。彼の血統は断絶している。

アンネローゼは一度も帝国の統治に関わった事は無いのだ。血の繋がり、それだけで周囲が彼女を女帝として認める事が出来たかどうか……。それが出来ると思ったのならオーベルシュタインはあそこまで同僚達の力を抑えようとはしなかったはずだ。

ローエングラム朝銀河帝国は脆弱だった、だからオーベルシュタインの存在する余地があった。今の帝国にはオーベルシュタインは必要ない。そんな脆弱さとは無縁なのだ……。


宇宙暦 797年  8月 26日  ハイネセン  ある少年の日記

八月十五日

大変なことが起こった。お昼のニュースでとんでもないことを言っていた。フェザーン回廊で同盟軍と帝国軍の間で戦闘が起きたらしい。戦闘が起きたのはフェザーン回廊の帝国よりの宙域で本当なら同盟軍は行ってはいけない処なのだそうだ。

学校でも午後からはそのニュースで持ち切りだった。捕虜交換にも影響が出るかもしれない、帝国は内乱が終わったから今回の件をきっかけに戦争を仕掛けてくるかもしれないと皆が言っている。

でも皆が不思議がっている。同盟軍はなんでわざわざ行ってはいけない処に行ったのだろうって。そんな事をしたら大変なことになるって分かるはずだ。僕だって分かるのに何でだろう? 本当に帝国よりの場所で戦闘が始まったのだろうか? もしかすると帝国に上手くやられたんじゃないだろうか? ヴァレンシュタイン元帥が何か仕掛けたんじゃないだろうか?

夜になって詳しいことが分かった。戦闘が起きた場所は間違いなくフェザーン回廊の帝国よりの宙域らしい。それも帝国軍は三千隻、同盟軍は二千隻、同盟軍が不利なのにこちらから挑発行為をしたらしい。

帝国軍が何度も警告し退去を命じたのに無視して帝国軍に近づいたそうだ。話を聞いていると同盟軍に非が有るように見える。ヴァレンシュタイン元帥は関係ないみたいだ。でも味方が不利なのに近づくってどういうことだろう? なんだかさっぱり分からない。

八月十六日

今日の朝のニュースでも一番最初に報道されたのはフェザーン回廊での戦闘のことだった。同盟軍はかなり劣勢で危険な状態らしい。同盟軍の指揮官はサンドル・アラルコン少将という人だ。なんでも主戦派の一人らしいんだけど今回の戦闘もここ最近の帝国との協調路線に反発してのことじゃないかとアナウンサーが言っていた。第三艦隊司令官のルフェーブル中将はアラルコン少将を救うために艦隊を出動させたそうだ。

いいのかな? 戦闘が激しくなっちゃうんじゃないの? そう思ったけど軍の発表では味方を救う
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