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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十五話 余波
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ほど、信用付けのためか」
フェルナーが納得したように頷いた。使者を出す、出す以上は出来る限りの支援をすべきだろう。まして話が話だ、一つ間違えば気が狂ったと思われかねない。
「ところでエーリッヒ、何時引っ越すんだ」
「……三日後だ」
「そんな嫌そうな顔をするな。フロイライン、いやフラウに失礼だぞ」
「冷やかさないでくれ」
誠実さが欠片も無い、ニヤニヤしながら言うな、フェルナー。
自分でも分かる、俺の顔はしかめっ面になっているだろう。あの事件の後、爺様連中がいきなりユスティーナと結婚しろと言って来た。結婚は捕虜交換の後のはずだ、そう抗議したがまるで聞いてもらえなかった。
お前のような思慮分別の無い小僧には重石が要る、さっさとユスティーナと結婚しろ。それがリヒテンラーデ侯の言葉だった。そうは言っても住居は決まっていないし、結婚式の準備など何も出来ていない。大体艦隊司令官達は作戦行動中なのだ、彼らの居ない間に式など挙げたらブウブウ言い出すだろう。
俺の反論はものの見事に粉砕された。エーレンベルクが式は後でいいから先にユスティーナを入籍させろと言って来た。手際のいい事に婚姻届まで用意している。おまけに住居も用意されていた。ミュッケンベルガー家だ、元帥父娘と同居しろとのことだった。当然だがミュッケンベルガー元帥の了承は事前に得ている。
半ば強制的に婚姻届を書かせられるとシュタインホフが止めを刺してきた。“これで卿が死んだら、ユスティーナは未亡人になる。少しは自分の命を大事にするのだな、無茶はいかんぞ”。全く碌でもない爺どもだ。
「式を挙げるのは俺が帰ってからにしてくれよ」
「式は捕虜交換の後だ、心配しないで良いよ」
「そうか……。あれで終わりとは思えない、気をつけろよ、エーリッヒ。連中は危険だ、これからも卿を狙ってくるぞ」
「ああ、分かっている」
フェルナーが帰った後、俺は一人応接室に残った。皆少し心配しすぎだ、俺の死が帝国の崩壊に繋がるかのように心配している。しかしそれは無い、俺は皇帝ではないのだ。俺は帝国軍三長官の一人、しかも第三位の宇宙艦隊司令長官でしかない。痛手ではあるだろうが致命傷ではない。
そして俺が望む宇宙の統一、国政の改革は皆が理解し進めようとしている事だ。たとえ俺が死んでも帝国の進路は揺るがない。多少の混乱は有っても最終的にはより堅固になるだろう。帝国は動き出したのだ、もう後戻りはできない。俺が死んでも流れが変わることはない。
原作のキュンメル事件でラインハルトが暗殺されたのなら帝国が崩壊した可能性は有るだろう。彼は後継者が居ない皇帝だったし親類縁者にも有力者は居なかった。アンネローゼが居たが彼女に帝国を統治し部下を統括するだけの力量が有ったとは思えない。
ラインハルトの死によ
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