出撃・礼号作戦!〜前段階〜
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さてさて、大将ともなると厄介な仕事が舞い込むなんてのはザラに有る事だ。フィリピンのミンドロ島に泊地設営を目論んでいた深海の艦隊を叩く為に『礼号作戦』が発令された。イタリアで建造された新型重巡艦娘を迎えての観艦式が予定されていたこの時期にだ。バレンタインデーも終わった直後だってのに、深海の奴等は勤勉なこって。
「……あ?本土からの艦隊は来ない?何でまた…、は?複数の鎮守府がスパイによる破壊工作!?んだそりゃ、本土の奴等は気が抜けすぎなんじゃねぇのか!?……あぁ、わかったよ。コッチで何とかすらぁ。じゃあな。」
乱暴に受話器を置いた俺は、懐から煙草を取り出して火を点けた。溜め息代わりに紫煙を吐き出すと、少しは気が紛れた。
「テートクぅ、今の電話って……」
「あぁ、軍令部の染嶋からだ。どうも、深海の奴等に同調してる国があるらしい。」
フィリピンへの攻勢が決まった途端、呉・大湊・佐世保・ラバウル・トラックが破壊工作を受けた。特に呉は一時的に場所を移さなければならない程の打撃を受けたらしい。
「どうにも、きな臭ぇな。」
タイミングが良すぎる。深海の動向を知らなければこんなにもタイミングを合わせて動く事は出来ないハズだ。恐らくは中国辺りが怪しいモンだが、証拠が少なすぎて断定は出来ん。
「金剛、全員に緊急召集だ。ウチの鎮守府が『礼号作戦』の前線部隊になるからな。戦闘配備、装備・資源のチェックを急がせろ!」
鎮守府の中にけたたましくサイレンが鳴り響く。バタバタと食堂に集められる艦娘達。
「え〜、フィリピンに深海の泊地を設営しようとしている動きがあるのは聞いていると思う。その前に叩く為に作戦が発令された。作戦名は『礼号作戦』、総員戦闘配備にて待機。いつでも出られるようにしとけ。以上!」
全員が返礼してくる。統制はバッチリだ。後は鬼が出るか蛇が出るか……だ。
「まずは情報だ。敵の構成、展開範囲、錬度……全て足りん。基地航空隊に連絡!航空偵察隊を編成、当該海域に飛ばして情報をかき集めろ!」
コクリと頷いて鳳翔・蒼龍・飛龍が慌ただしく出て行く。
「他の者は別命あるまで第二戦闘配置で待機!いつでも呼び出しに応えられるようにしとけ。」
『了解!』
さぁて、一仕事と行きますかね。
俺と嫁艦の数名は執務室に戻って戦闘指揮所に模様替えの準備を整える。家具を退けて部屋の中央にテーブルを広げ、海図や艦隊の備蓄状況などを纏めたデータ等をズラズラと並べていく。
「さて、と。後は偵察部隊からの報告待ちだ。少し手持ち無沙汰になっちまうなぁ。」
俺は煙草を取り出して火を点けた。深く吸って紫煙を吐き出した。偵察隊からの報告が上がって来るまで数時間。さてさてどうしたもの
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