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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十一話 刹那の妙技
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笑顔の元凶なのではないかと。
「(そん、なわけ、ない!)」
即座に、彼は生み出した八体の幻影を一気にクラナに突撃させた。数による制圧攻撃……ではない。即座に、彼は「自らの手元に」スティングレイを生成する。幻影は目くらまし。本命は、幻影によって絶対に死角となった位置から放つこの高速発射型のスティングレイだ。
クラナが幻影の対応に構えた瞬間、クラナの右側面、幻影の真後ろからレイリ―はスティングレイを発射する。幻影がクラナと接敵するその寸前、発射した魔力棘は自らが作りだした幻影を突き抜け、クラナの目の前に現れる。
絶対に回避できない、確実に当たるタイミング。高速性と貫通性を高めた、いわば貫通弾だ。防御したとしても、ダメージは彼に向けて抜ける。
「(これで、最後だッ!)」
クラナが接近する避けようのない一撃をようやく目にし、クレヴァーが勝利を確信した。その瞬間……
彼は今度こそ間違いなく、子供のように無邪気に、楽しそうに、“笑った”。
────
観客席の一角で、ヴィヴィオが目を見開いて小さな声を上げる。
「お兄ちゃん、今……」
「おっ、やっと笑ったか。久々で硬くなったか?」
「えっ?」
「ん?あぁ、そうか、知らんか。お前の兄ちゃんはな……」
────
別の場所で、なのはが思わず、と言ったようにつぶやいた。
「……あ……」
「?なのは?」
「……そっか……そうだったんだ」
ずっと、忘れていた。あの時、試合の時にクラナが見せてくれた笑顔と、あれは同じ顔だ。あの時よりもずっと素直だけれど、確かに同じ顔だ。それを、高町なのはは覚えている。何故なら、ずっと前にも同じ笑顔を見ていたからだ。
「前の大会の時も、クラナ……」
「……あぁ、そう言えば、そうだね」
────
「クラナさん……」
「やっぱり……」
「ジーク、貴女が言っていたのって、こういう事?」
「うん、ウチの時と同じや。クラナ君、すっごく“楽しそう”!!」
────
「……!?」
クレヴァー・レイリ―は、今度こそ間違いなく驚愕していた。目を見開き、一瞬思考すらも止まる。それは当たり前だ。何故ならクラナは彼の射撃を“素手で受け止めて”いたのだから。
「(古流武道の技術……!?いや、でも……)」
以前文献で見た知識にあてはめて、そう辺りをつける。だがあれは肉体的資質の他にもかなりの習練が必要な技術だったはずだ。それに、そんなものが使えるなら何故今まで使わなかったのか。
「(まさか……即興で!?)」
そんな馬鹿な!?と思いながらも、しかしそれ以外にここまであの技術を使わなかった理由が説明できる合理的な理由が思い当たらない。そう考えている間に、発射したスティングレイは、両手で受け止めたクラナ
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