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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十一話 刹那の妙技
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分から突っ込んでくれても文句ないのになどと勝手な事を考えて苦笑しつつ、さらに左右空同時に仕掛けてくるクレヴァーのからバックステップで距離を取ろうとするが……

「!っく……!!」
再び後方からの風切り音がして、クラナは咄嗟に地面を蹴って無理やりサイドステップに移行する。次の瞬間、先ほどまでクラナが居たその場所をスティングレイが通り過ぎ、クラナの脇腹を直撃ではないもののかすめ、衝撃でクラナはたたらを踏んだ

クラナ・ディリフス・タカマチ DAMAGE 540 LIFE 2960

幻影だが、気配がなかった。気配を投影する例の魔法を、あえて重ねずに作りだした一体だろう。これまで気配のある幻影に集中している分気が付きにくい。後退したクラナを追うように、今度は正面から三体が迫る。
ふと、クラナは自分の中に一つの感情が抑えきれないほどにふつふつと湧き上がっているのを感じていた。

「(あぁ、全く……!)」
しかしクラナはあえて一体の懐に飛び込むと、走りこむ勢いをそのままにその一帯を一息に殴り倒しにかかる。倒れ込むような前傾姿勢で振るった拳を受けた中央の一体が消滅すると、一歩遅れて左右の幻影がクラナに飛び掛かった。が……

「はっ!!」
クラナは即座に前傾姿勢の体制をそのまま倒すようにして地面に両手を突き、両足を広げて一回転。倒立姿勢から繰り出したとは思えないような高速の蹴り技で、その二体を蹴り倒し、会場が沸いた。

「(……どうして……)」
その様子を遠くから見ていたクレヴァーは自分の中に、違和感が湧き上がっているのを感じていた。試合開始以降、ほぼずっと複数方向からの攻撃に晒され、常に全方向からに対する警戒を強いられているクラナの脳は、そろそろ疲労の蓄積が顕著になり始めているはずだ。
脳が疲れれば体の反応も遅くなる、そのタイミングであの攻撃を仕掛けたつもりだったし、今、三体を突撃させたのは対応を焦って更に姿勢を崩してくれることを期待しての事だった。だが、クラナは殆どノータイムで幻影たちを打倒した。いや、それどころか、先ほどよりも反応は早く、パフォーマンスのキレも良くなっている。
理解できなかった。追い詰められた焦りが火事場の馬鹿力を発揮させているとでもいうのか。それに何より不可解なのは……

「(笑ってる……?)」
遠いうえに常に動きまわっている為彼にはよく見えなかったが、クラナがどこか笑っているように見えた。だが、この状況で彼に笑顔を浮かべる理由はないはずだ。そんな余裕があるとしたら……それは……

「(ッ……!?)」
直後、得体のしれない悪寒がクレヴァーの中に走った。自分の方が追い詰めているはずなのに、実は本当はそんなことはないのではないのかという不気味な想像が、彼の中で鎌首をもたげ、膨れだす。その余裕こそが、あの
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