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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十一話 刹那の妙技
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それだけでも珍しいものですけれど……」
「ウチも初めて見るタイプの戦術。肉体的な不向きを補うために、凄く努力したんやと思う」
至極素直に感心したように、ジークは言った。実際強力なスキルを持っていても、例えば今の場面、それぞれの魔術の発動が遅れていれば、それだけでもクラナに対応させる余裕を与えてしまっただろう。それを殆ど無くして一方的な攻勢に持って行けたのは、ひとえにクレヴァーの幻術のスキルが洗練されていたからだ。

「けど、まだ勝負が決まったっていうには早い……あの子が自分の魔法戦の技能を鍛えてきたように、クラナ君は魔法戦の適性が低い代わりに鍛えてきた身体と近接格闘戦技(ストライクアーツ)の技術があるから……」
「えぇ、捕まえれば、ワンラッシュで一気に逆転への道は開ける。……いいえ、それどころか、クラナさんの瞬間火力なら、そのまま勝負を決められる可能性もある」
「うん、それが分かってるから、相手の子も慎重に、自分の位置を隠すことを最優先にしてじっくり攻めてる。この試合、クラナ君が攻められっぱなしの一方的な試合に見えるけど、ほんまは、お互いにとって長い綱渡りや……」
今なおクラナに対するクレヴァーの翻弄が続く試合会場を真っ直ぐに見つめながら、ジークは冷静にそう続ける。そんな彼女にどこか面白がるような声色で、ヴィクターが聞いた。

「それを踏まえたうえで聞くけれど……ジークはどちらが勝つと思うの?」
「うーん、正直、クラナ君にとっては、相性最悪な相手やと思うよ?魔法戦特化と、格闘戦特化、どっちも特化型やし、この相性の差は大きいと思う。でも……」
「でも?」
「それでも、クラナ君が勝つって、ウチは思うよ」
「どうして?レイリ―さんが勝つ要素しか言ってなかったように聞こえたけど……」
「うん、普通に考えたら、相手の子が勝つと思う。でも……」
言いながらジークは再び、会場へと視線を戻す。その瞳は今度は見定めるような真剣なものではなく、どこか楽しげな物だった。

「……でも、クラナ君──」

────

「……はっ……はっ」
第二Rが始まってから、既に2分が経過していた。その間、クラナはひたすらに相手の動きを分析し、防御に徹してきた。それをしても尚、防ぎきれなかった攻撃はある。既に息も上がってきた。攻撃に激しさがあるというよりも、こちらの意識していない部分を突くのがクレヴァーは非常に上手かった。意識の埒外から常に思いもよらない、攻撃、あるいは陽動を仕掛けてくるかと思うと、それによって強制的に隙を作りだし、そこをついて躱しようがない一撃を放ってくるのだ。

「ッ!」
後方からのスティングレイを突き込んでくる人影を、クラナは軽く屈みながら躱しつつ、右足を軸に左足を引いて裏拳で迎撃する。当然の如く外れたそれに対して、そろそろ自
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