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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十一話 刹那の妙技
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、この母親二人がそろうとちょくちょく脇の事はそっちのけで自分達の世界に入ってしまうのはよくあることなのだが……どうしたものかという顔で硬直しているクラナに、流石にこのままは不味いと思ったのか、なのはが顔を引き締める。何とか母としての威厳を取り戻そうとしている感じがあって若干無理があるが、気にしてはいけない。
「あ、えっとそれより……クラナ、お疲れ様でした」
「くす、うん。立派だったよ。おめでとう」
「あ……はい……ありがとうございます」
深々と頭を下げて、クラナは労いの言葉に謝意を示す。忙しい中でこうして自分達の応援にまで駆けつけてくれる母親たちには、本心から感謝している。ただ実際の所、その謝意の示し方がよく分からないところが彼にはあった。笑い合えれば一番いいのだろう、しかし先ほどまでジークになら簡単に出来ていたはずの笑顔は、彼女達の前に立った途端に、表情筋が引き攣ってしまったように上手く浮かべることが出来なくなる。
ただ、不意に一つ、自分が彼女達に言っておかねばならないことがあったのを、クラナは思い出した。
「あの……」
「?うん、どうしたの?」
「これ……」
言いながらクラナが取り出したのは、試合前に受け取った水筒だった。それを見て、パッと花が咲くようになのはが笑顔になる。
「あ、それ、ちゃんと受け取ってくれたんだ!試合の前とかあととか、何時飲むか分からなかったから、あんまり濃すぎるようにならないように考えてみたんだけど、大丈夫?邪魔じゃなかった?」
「……はい、おいしかったです……」
「!そっか!よかったあ……」
頷いてそういうクラナに、なのはは心底安心したように胸に手を当てる。その様子に、フェイトが微笑んで言った。
「なのは、一昨日から材料買い込んで、今朝まですっごく考えて作ったんだよ?」
「…………」
「ううん。私は練習とかには付き合えないから、せめてもの応援。でもちょっとでも力になれたなら……」
どこまでも、クラナの事を慈しんでくれる言葉。ずっと、彼女が自分の事を思ってくれているのは分かっているつもりだった。その言葉に、今度こそは、クラナは即座にコクリと頷いた。
「……はい。ありがとうございました」
「……!うんっ!!」
自分のしたことは、どうやら彼の力になることが出来たらしいと、そう察してなのはが心からの嬉しそうな微笑みをクラナに向け……まるで導かれるように、両手を伸ばし……頬に触れる寸前で、その両手が止まった。
「……クラナ、触ってもいい?」
「…………ッ」
ついこの前、病院での出来事、あの時の事を恐れるようななのはの言葉。その言葉に、クラナは否定も肯定も返すことは出来ない、ただ……
「…………」
「ぁ…………」
クラナの右手が、伸ばされたなのはの左手を包む。握る
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