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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十一話 刹那の妙技
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だぞ!」
「まぁ、そうなんですけど」
ぐうの音も出ないとはこのことだろう。クラナにとってのノーヴェは指導者というよりも、付き添い役としての役回りの面が強い。戦術や使う魔法は殆どクラナに一任してもらっているので、ノーヴェは単純に心配してくれているのだ。

「……なんか、考えがあるのか?」
「……少しは。大丈夫です、少なくとも……」
言いながら手を伸ばした水筒を見て、一瞬クラナの手が止まる。彼は少しの間それを見つめて、何かを振り切るように手に取ると、一気に煽った。栄養だけがある後味の悪い味にならないよう、けれども濃すぎる事もないよう絶妙に味の調整が為されたそれが喉を潤すのを感じながら、少し口の端からこぼれた液体を左手の甲でぬぐう。

「……少なくとも、このまま負けるつもりはありませんから」
「……当然!捕まえさえすればお前の勝ちだ、ぶちかましてこい!」
「はいっ!」
言われると、クラナは勢いよく立ち上がる。

「(まだ負けられない……!)」

────

クレヴァー・レイリー RECOVERY 7600 LIFE 12000

クラナ・ディリフス・タカマチ RECOVERY 8400 LIFE 10300
クラッシュエミュレート全快

────

甲高い、ゴングの音が響く。

「[さぁ、今、第二ラウンドのゴングが今、鳴りました!!]」

「ッ!」
「……っ」
出だしに、第一ラウンドのような静けさはなかった。先ほどのまでの激しい魔法戦の続きであると言わんばかりに、クラナがクレヴァーに向けて突っ込んでいく。無論、そんなつもりはない。少なくとも、今、試合開始直後に彼の前に居るクレヴァーは本物だ。逃げられるよりも前に、一気にダメージを与えに行く!

「やばっ……」
「ふっ!」
当然ながら、全速力で踏み込んだクラナの動きにレイリ―が付いていけるわけがない。一気に彼の懐まで飛び込んだクラナの右フックが、クレヴァーの顔面を……すり抜けた。

「(早い……!)」
「(甘いよ……!)」
既に移動を終えたクレヴァーが、内心でそうひとりごちる。試合が再開されるよりも以前から、この展開は予想している。あれだけ手の内を見せたのだ、むしろここで踏み込んでこないものは居ないだろう。故に、発動までのタイムラグを限界まで抑えて初手を打つ、その上で……

「ッ!?」
突如、クラナは後方すぐ近くから気配を感じて条件反射的に振り向く。が、そこには誰もいない。気配だけだ。虚空に向かって気配を展開する例の魔法を使ったのだと気が付いた時にはクラナは全力で再び振り向き防御の姿勢を取っていた

「っ……!」
「スティングレイ!!」
目の前にいるレイリ―が踏み込みから右手を突きだしてくる。それをバックステップしつつそらすよう
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