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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン62 蹂躙王と墓場の騎士
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れた壊獣の眠りの効果を処理するぜ。と、言いたいところだがなあ」

 ここで意味ありげに言われて、初めて僕も気が付いた。先ほどフィールドに存在した唯一のモンスター、シェード・ブリガンダインがウイルスのコストとしてリリースされたことで、妨げられた壊獣の眠りで破壊できたモンスターは0体だった。そしてモンスターを破壊できない限り、このカードのリクルート効果は不発となってしまう。つまり僕は今、残り少ない手札のうち1枚の効果すら何もすることができないまま不発に終わってしまったのだ。当然、これ以上できる事などあるはずがない。

「くっ、ターンエンド!」
「俺のターンだ。このターンのエンドフェイズまで、俺はウイルスカードのデメリットでお前にダメージを与えられない。だがな、だからといってこのターンを無駄に過ごすほど俺は甘くないんでな。カードを2枚セットし、カードカー・Dを召喚!このカードをリリースすることでカードを2枚引き、このターンのエンドフェイズになるぜ」

 紙のように薄い車が現れてすぐ消え、ケルトがカードを2枚引く。先ほどのウイルスもそうだけど、ライフこそ変動がないとはいえじわじわとこちらがアドバンテージを取られつつある。それでもいまだ目立った動きがないのは、僕の壊獣もケルトの幻影騎士団も基本が受け身なデッキだからだろうか。

 清明 LP4000 手札:1
モンスター:なし
魔法・罠:なし
 ケルト LP4000 手札:4
モンスター:なし
魔法・罠:2(伏せ)

「僕のターン!このメインフェイズ1の開始時に魔法カード、貪欲で無欲な壺を発動!僕の墓地から種族が違う3体を選んでデッキに戻し、その後でカードを2枚ドローする。悪魔族のラディアン、水族のガメシエル、機械族のジズキエルを戻してドロー……さらに、墓地に存在する妨げられた壊獣の眠りのさらなる効果を発動!」

 まだだ。たとえウイルスで壊滅しようとも、まだ僕らは戦うことができる。
 ……本当にこれでいいのかは、僕にはわからない。もしかしたら、ケルトを倒さず正気に戻すような方法があるのかもしれない。だけど、それを探すことに気を散らした瞬間に僕は敗北する。ケルトは、それほどまでに強い。少なくとも、よそ事を考えながらの片手間でどうにかできる相手じゃない。
 結局、僕だって死にたくないんだろう。1度生き返った時点でもう自分の命に執着はないと思っていたのに、我ながらこの浅ましさが嫌になる。皆が笑って終わるハッピーエンド、その道を探すことすらせずにこうして本気で戦う事を、少しでも自分が助かる可能性の高い道を優先している自分がいる。ケルト本人だって最後には僕に倒されることを望んでいた……そんなもの、ただの詭弁でしかない。昔に比べて変わってしまったのは先代のせいなのか、それとも僕そのものが変
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