暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン62 蹂躙王と墓場の騎士
[4/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
上げた。

「静粛に、静粛に!ここに捕らえたるはここ数日、我らが同胞を虐殺して回っていた恐るべき賞金首の人間1人!」
「なーにが虐殺って?自分から喧嘩売ってきたくせに」

 誰も聞こえなかったのかあるいは無視したのか、いずれにせよ僕の声は観客の沸き立つ叫びにかき消された。

「そしてかたや、ここに捕らえたるはかつて我らが同胞でありながらも我らから離反、忌むべき歴史として暗黒界の書物からもその名を抹消された裏切り者のケルト!」
「ケッ、若造がデカい口叩きやがって」

 意外にも、こちらの方が歓声が大きかった。当然のごとくケルトの呟きは届かず、代わりに返ってきたのは殺せ、殺せ、殺せ……そんなコールだった。ベージはその反応に満足したように手で制し、再び静まり返った闘技場に声を張り上げる。

「本来ならば両名すぐさま処刑と致すところですが、どうでしょう皆様。本日はお日柄もいい(・・・・・・)、ここにおわせられる我らが覇王様の許可を得て、僭越ながらこのベージがひとつ趣向を凝らしました」

 その発言に、咄嗟にベージが叫んでいる方に目をやる。ベージのすぐそばにどっしりと座る、トゲトゲした黒い鎧を身につけた男……あれが、覇王なのか。でも、あの眼はどこかで見たことあるような。どうにか思い出そうとするも、再び始まったベージの講釈にその試みは中断を余儀なくされた。

「ここまで言えば、聡明なる皆様方にはもうお分かりでしょう。本日はこの2人の大罪人に、互いの命を賭けてデュエルをしていただきます!」
「ふっざけんな!」
「おやおや、そんなことを言っていいのですか?とはいえ、もちろんただではあなた方もやる気が出ないでしょう。そこでこのデュエル、勝ち残った方にはこの覇王様への挑戦権が与えられます!」
「なに?」

 そこで、ケルトが反応する。覇王と僕を見比べ、やがて場内の熱気に負けじと声を張り上げた。

「おい、俺はこの勝負乗ったぞ!だから早くこの鎖を外しやがれ!」
「なっ……!」
「もちろんですとも!速攻魔法、ツインツイスターを発動!この効果により、あなた方を縛るデモンズ・チェーン2枚を破壊します!」

 つむじ風が吹き、みるみるうちにボロボロに錆びていったデモンズ・チェーンが勝手に切れて地面に落ちる。言葉を失う僕と対照的に、笑顔さえ浮かべながらケルトがデュエルディスクを取り出す。

「け、ケルト……」
「い・い・か・ら・合・わ・せ・ろ!」

 二の句が継げない僕に、ケルトが目の前にいるからギリギリ聞き取れる程度の小声で指示を飛ばす。反応する暇すら与えず僕につかつかと近寄り、観客席に向かって大声で宣誓する。

「よおーし、いいかぁ!お前らの言う通りにするのは気に喰わねえが、背に腹は代えられねえ。今からこの俺、鬼神ケ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ