ターン62 蹂躙王と墓場の騎士
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周囲の家々から、僕らがこのシンプルな罠にかかるのを待っていたらしい悪魔どもがぞろぞろと湧いてくる。その先頭に立つリーダー格らしき長槍を手にした悪魔が、手にする1枚のカードをこちらに見せながら近寄ってきた。
「みてーだな。お前も下手な抵抗はやめとけ、引っかかって怪我するぞ」
吊るされながらも先に落ち着きを取り戻したケルトの言葉に、しぶしぶ僕も動こうとするのをやめる。精々できるのは、僕らを下ろしに来ようとする下級悪魔を思いっきり睨みつけてやることぐらいだった。
それから。宙吊りの状態から地面に降ろされ……というより叩き落とされた僕らは、デモンズ・チェーンに上半身を縛り付けられたままその指揮官、なんでも尖兵ベージというらしい悪魔に連れられて街の中心部に向かわされていた。賞金首になっているらしい僕はともかく、なぜケルトまで?そんな疑問は、次第に城の一角に近づいていくにつれだんだん険しくなるケルトの表情を見てひとまず脇に追いやった。
「この方向、一体何が……?」
「……ああ、こっちには確かな」
「うるさいぞ、静かに歩け!」
先頭を行くベージがデモンズ・チェーンの先端を力任せに引っ張ったため、バランスを崩して転びそうになるところを何とか踏みとどまる。しかしケルトはそれを最後に押し黙ってしまい、僕も何も言うことができなかった。
そのまま少し歩くと、やがて小さな円形の建物が見えてきた。僕はあんな感じの建造物を知っている、あの形は忘れようったってそうはいかない。ニヤニヤと笑いながらその中に僕らを引いていくベージの顔を見ても、僕の予想が間違っていないことはよくわかった。
「闘技場……」
そう。円柱の底に当たる位置にはむき出しの地面が広がり、その周りを取り囲むように設置された高い壁と観客席。これはいつぞやのセブンスターズ事件の際、アマゾネスのタニヤが作らせていたものとそっくりだ。もっともタニヤの闘技場がシンプルなできだったのに対し、この闘技場は石造りの悪魔像やらなんやらでごてごてと不気味に飾り立てられているという違いはあるが。まあ、いかにも悪魔らしいといえばらしくもある。
「へへへ……ほらよ、入りな!」
ドン、と背中を突き飛ばされ、よろめいた拍子に押し出される。背後で分厚い鉄の門がおり、完全に進退窮まってしまった。そのすぐ横では、同じようにケルトも立っている。
下から見上げると観客席には様々な悪魔族モンスターが座り、嫌な笑いを浮かべながら立ち尽くす僕ら2人を見下ろしている。ここまでくればこいつらがどんな悪趣味なことを考えているのかは嫌でもわかる……が、誰がそんなことしてやるか。手当たり次第に睨みつけていると、いつの間にか上に登っていたベージがメガホンのようなものを手にして声を
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