ターン62 蹂躙王と墓場の騎士
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フィールドにモンスターがいないから帯電の3回攻撃は意味がない。だけどこの力をメインフェイズのうちに発動しておけば、バトルフェイズにしか発動できないシャドーベイルの蘇生効果はもう使えなくなる。
「このデュエル、僕の勝ちだ!サンダー・ザ・キング、ダイレクトアタック!」
3つの首が雷撃のブレスを放ち、空気がその衝撃に震える。ドゴランの起こす炎の嵐とはまた違った雷の爆発が、その身を守るべきカードを封じられたケルトの体を吹き飛ばした。
雷撃壊獣サンダー・ザ・キング 攻4800→ケルト(直接攻撃)
ケルト LP4500→0
「うう……」
「ケルト!」
デュエルが終了し、最後の攻撃で吹き飛んで後ろの壁に激突したきりピクリとも動かないケルトのもとへ走る。息も絶え絶えといった様子で僕の呼びかけに顔を上げるケルトの目にもはや生気はほとんど残っていなかったが、さっきまでの狂気もまたきれいに消えていた。
苦しそうにしながらもどうにかにやりと笑って見せ、自力で起き上がろうとしてその場に膝をつく。慌てて肩を支えると、かすかな声で言葉を発した。
「……よう。よくやったな、やるじゃねえか……」
「そんな、無理にしゃべらなくていいから!」
「いや。どうせもう長生きはしたしな、今更後悔はねえよ。お前のおかげで正気にも戻れたし、何ひとつ悔いはねえさ」
「そんな……!」
ケルトの体が、うすぼんやりと発光し始める。ゆっくりと、その全身が光の粒子になって消えていきつつあるのだ。その様子をちらりと見降ろし、ケルトが最後の言葉を残す。
「いいな、なんでもいいから生き延びろ。気にすんなっつってんのにそんなにお前が気に病むんならもう俺は知ったこっちゃねえが、だったら俺の最後の頼みぐらい聞け。いいな、絶対生き残れ。俺の分までしっかり生きろよ。おら、返事しろ返事」
「う、うん……約束する、必ず僕は生きて帰る。元の世界に戻るって」
「よし。あばよ……」
「ケルト……」
その言葉を最後に、ケルトの姿が消えていく。一緒にいたのはほんの短い間だけだったけれど、心にはぽっかりと穴が開いてしまったようで、どれだけここ数日彼に依存していたのかが痛感できる。
そのままどうするでもなく立ち尽くしていると、やがてパチ、パチ、パチ、とゆっくりと手を叩く音が聞こえてきた。その方向へ視線をやると、その主は覇王……やがて覇王が手を叩くのをやめて立ち上がり、ここに来て初めて言葉を発した。
「いい余興だった。これから褒美として、この覇王が直々に相手してやろう」
それを聞いて、思わず自分の耳を疑った。
言葉の内容にではない。それは最初から聞かされていたし、それを忘れていたわけではないからだ。でも今の声、あの声には聴き覚えがあ
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