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俺の四畳半が最近安らげない件
イボウンデーの帰還
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置いて行った『お世話グッズ』に目をとめた。30キロは入ってそうな麻の袋が、ぼさりと置かれていた。
「あの袋か!?」
『大量ノクルミガ詰マッテルヨ、4日分ノ食事ネー』
4日分でこの量!?こいつどんだけ食うんだよ!
『野菜モ忘レズニネー』
麻袋の傍らには『高原キャベツ』と書かれた段ボールが置かれている。
「…クルミとキャベツでいいんだな!?」
『ソウネ。他ノモノは食ベサセチャ駄目ヨ。…特ニ肉…肉ノ味ヲ憶エサセチャ駄目ヨ!イポウンデーノ民、ソレデ幾多ノ悲劇ヲ経験シテイルヨ』
「―――てめぇ何危険な生物預けてんだよ!!」
ヒグマかよ!もうこれバイオハザード案件じゃねぇか。間違っても肉なんて……って、
「あ――――!!!!」
俺の食い残しのカツ丼を嗅いでる―――!!!俺は転がるように駆け寄るとカツの皿を取り上げ、大袋のクルミをばら撒いた。ハムスター(仮)は小さくジジジ…と鳴くと、干し草に鼻を突っ込んだ。
「……あっぶねぇ……」
「ちょっと、丹沢さん!周りからこの部屋で猛獣飼ってるって報告あったんだけど!?」
……もう言い逃れようはない。大声で悲鳴あげちゃったし。俺は一旦切るぞと言い捨てて携帯を置き、恐る恐る玄関を開けた。
「……すんません……友人に騙されて……」
「うっわ獣臭っ!!」
玄関に首を突っ込んだ大家が、ぐっと鼻を押さえた。
「ていうか何!?あの回し車、何が回るの!?カピバラ!?」
云っても信じないだろうが…。
「……ハムスターを、預かりまして……」


「……イポウンディアン・ハムスターじゃん!!」


―――え?なに有名?
「ご、ご存知で!?」
「イポウンデーの固有種だよね!?すごい金掛かるから王族しか飼育出来ないよ?…ってことは…」
大家の眼差しに同情というか、憐れみの気配が漂い始めた。
「あーあ、関わっちゃったかー…」
「おじさん、知ってんですか!?」
俺イポウンデーなんて国が存在すること自体最近初めて知ったんだけど!?なにこれ一般常識だったの!?
「僕も学生の頃、当時の皇太子に関わっちゃってね…ほんと色々…色々されたよ…」
ため息混じりに述懐し出した。ていうかあいつら、親子で何やってんの?
「…気を付けな。僕のところ、いまだに盆、暮れ、誕生日にはニカカニカマカマが送られてくるからね…」
季節の節目ごとに厭な目に遭わされるの!?もうおじさんなのに!?
「大体の事情は察したよ。僕、王の住所知ってるから、修繕費はそっちにツケるし絞めあげてでも払わせるから…」
安堵のあまり腰が抜けそうになった。…大家が味方についてくれた。そっちは安泰だ。
大家さんは空き部屋を貸してくれて、俺はそこで泥のように眠りについた。



翌日の朝、山梨の実家から民俗学者の親父が訪ねて来た。お盆に帰
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