『瞳』
[8]前話 [2]次話
世界はいつもモノクロだった。
むしろ真っ黒だった方が多いだろう。
守られて当たり前の環境に在る君が嫉ましかったよ。
正直ヤな奴だよ私。
帰りたい処なんて無かった。
温かい御飯もお風呂も、当たり前なんかじゃ無かった。
立ち上がることさえ億劫で、後は酒にうなだれるだけ。
こんな私なんて私らしくないって解ってる。
誰かを嫉んでも何も得られない。
そんなの解ってる筈なのにね。
其の瞳は何を見てるの?
どうしてそんなに輝いてるの?
どんな愛を与えて貰ってきたの?
どうしたらそんな風に柔らかい優しさを身につけられるの?
君のすべてが嫉ましくて憎たらしくて私は君を棄てた。
ヤな奴になってく私自身が赦せなかった。
君より自分を守ったんだ。
自分が壊れてしまう前に、君を傷つけてしまう前に。
君の瞳にモノクロ世界なんて似合わない。
私の欠片も知らないまま、綺麗なまま...
鮮やかで美しい世界だけを其の瞳で捉えていて欲しい。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ