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『恋愛抜粋』
『瞳』

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世界はいつもモノクロだった。
むしろ真っ黒だった方が多いだろう。

守られて当たり前の環境に在る君が嫉ましかったよ。
正直ヤな奴だよ私。
帰りたい処なんて無かった。
温かい御飯もお風呂も、当たり前なんかじゃ無かった。

立ち上がることさえ億劫で、後は酒にうなだれるだけ。
こんな私なんて私らしくないって解ってる。
誰かを嫉んでも何も得られない。
そんなの解ってる筈なのにね。

其の瞳は何を見てるの?
どうしてそんなに輝いてるの?
どんな愛を与えて貰ってきたの?
どうしたらそんな風に柔らかい優しさを身につけられるの?

君のすべてが嫉ましくて憎たらしくて私は君を棄てた。
ヤな奴になってく私自身が赦せなかった。
君より自分を守ったんだ。
自分が壊れてしまう前に、君を傷つけてしまう前に。

君の瞳にモノクロ世界なんて似合わない。
私の欠片も知らないまま、綺麗なまま...
鮮やかで美しい世界だけを其の瞳で捉えていて欲しい。



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