第三十四話 ハウステンボスでその十三
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「いつも思うけれど欧州のお城ってね」
「どうしたんだ?」
「日本のお城と全然違うわね」
「ああ、そのことか」
「このお城はお城っていうけれど」
しかしというのだ。
「正式にはお城じゃないのよね」
「宮殿なんだよな」
「そうなのよね」
見事な庭園もある橙色の壁とダークグレーの屋根を持つ。オランダの宮殿をそのまま再現した場所である。
「ここは」
「あっちのお城はな」
龍馬も言う。
「街を壁で囲んでるよな」
「中国やアラビアでもね」
「アメリカでもそうだったな」
「そうよね」
「つまり街が城だったんだよ」
「欧州ではね」
「それで日本のお城はな」
こちらはどうかというと。
「城下町っていう位で」
「お城の周りに街があるわね」
「ああ、壁で囲んでなくてな」
「そうした場所もあったけれど」
平城京や平安京だ、もっともこの時代は中国の城をそのまま導入したものだった。
「戦国時代のお城とかは」
「こっちじゃ砦って感じだな」
「そうよね」
「姫路城にしても」
優花が本来いて龍馬は今もいる兵庫県を代表するこの城はというと。
「城下町だよな」
「街は城の中にないわね」
「ああ、そうだな」
「それで」
優花はまた話した。
「このお城は」
「宮殿でな」
「お城じゃないのよね」
「向こうの感覚だとな」
「確かここはな」
龍馬は城の中の壮麗な装飾を見上げていた、天井にはシャングリラがありそれに照らされて宮殿に相応しい内装が照らされている。
「オランダ王家の人が住んでいた」
「その宮殿を再現したのよ」
「そうだよな」
「ここはね」
「ベルサイユみたいな場所か」
宮殿の代名詞とも言えるこの場所の名前をだ、龍馬は出した。
「言うなら」
「あっ、そうね」
「あの宮殿も王様が住んでいたな」
「ルイ十四世が建築をはじめて」
「それでだよな」
「ルイ十六世もマリー=アントワネットも住んでいたわ」
ベルサイユの薔薇にも出て来た登場人物達もだ。
「そのことから考えたら」
「同じだな、本当に」
「そうよね」
「まあ住むにはな」
龍馬は優花と共に階段にいた、そこから上の階に向かいつつ階段の手すり、宮殿らしく華麗な造りのそこを見つつ話した。
「ここは落ち着かないか」
「そうね、ちょっとね」
「奇麗な場所だけれど」
「ああ、ちょっとな」
「見たら人が住む部屋はね」
「あまりないな」
広いがだ。
「しかもお付きの人も多くて」
「その分もあって」
「落ち着ける場所じゃないな」
「どうしてもね」
「けれど観るならいいな」
住むにはともかくとして、というのだ。
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