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フロンティアを駆け抜けて
闇のシンボルハンター
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事に想ってるみたいだが、果たしてあの女はてめえを大事に想ってるのかね?」
「……そうに決まってるわ、いい加減ふざけないで!!」

 はっきりとした怒声。幼いながらに覇気のあるそれは、空気を震わせ闇のシンボルハンターを名乗る男を一瞬黙らせた。

「わかったよ。俺もお喋りするためにここに呼んだわけじゃねえ……てめえの持つシンボルは根こそぎ頂く」

 ムウマージの周りに、枯れた枝葉が集まっていく。戦闘態勢に入ったのが伝わってきた。

「いいわ。私が負けたら全部あげる。ただし私が勝ったら……今まで奪ったシンボルは全部返してもらう。それとお母さまの何を知ってるかも話してもらうわ!」
「やなこった」
「なっ……!」

 勝負を仕掛けておきながら、こちらの要求は拒否された顔が赤くなるジェム。闇のシンボルハンターは当然のように言った。

「なんでお前のシンボル二つに俺が今まで集めたシンボルを全部返す必要があるんだ?母親のことは話してやってもいいが、それを受ける義理はねえ。ま、負けたらシンボルを渡すだけじゃなく、あの女みたいにもう金輪際バトルはしませんっていうなら考えないでも――」
「……その約束なら、いいのね?」

 闇のシンボルハンターの言葉が止まり、正気を疑うような眼でジェムを見た。なんで見ず知らずの他人のために自分の今後まで賭ける必要があるのか。

「人の努力の結晶を奪って、聞きたくもない嘘っぱちの声を聴かせるあなたを!大事な人への想いを踏みにじるあなたのことは、絶対に許せない!」

 ラティアスが、自分の仲間たちがジェムを近づいてオッドアイを見つめた。両親が自慢できるようなポケモントレーナーになることをジェムが強く願っていることを何よりもよく知っているからだ。今のジェムは熱くなりすぎて、取り返しのつかないことをしようとしているのではないかと。
それに対して、ジェムは優しい目をして仲間たちに言った。

「……大丈夫よ、負けたってあなたたちとお別れしなきゃいけないわけじゃない。昔みたいに友達としていられる。バトルしてなくたってお母様も一緒にいるポケモンも幸せだし、それに……あなたたちがいてくれれば、こんな卑怯者に負けるはずがないもの」

 強がりだ。勝てる保証がないことなど、今までの敗戦でよくわかっているはずだ。それでも絶対にこの男の行動を許してはいけないと、ジェムは言っている。なら、その思いに従おうと、ポケモン達は頷いた。
むしろ闇のシンボルハンターの方が面喰っていたが、すぐに敵意に満ちた表情に戻る。

「じゃあさくっと頂くか。後悔しても知らねえぜ?ルールは6対6のフルバトル。勝負の形式は……『一度に、何体ポケモンを出してもいい』だ」
「……!」

 これはかなり異色
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