闇のシンボルハンター
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ぶつかり合った煙の向こうから、初めて聞く男の声がする。
「ほお……まったくの考えなしでもなかったか。さすがあの女の娘……とでも言っておいてやるよ」
人影が歪んで、正体を現す。魔女の帽子をイメージさせるゴーストポケモン、ムウマージだった。その囁き声は、相手に呪いを与える。ジェムが受けたのは間違いなくそれだ。大方相手のもっとも聞きたくない言葉が聞こえるようにしていたのだろう。そしてその後ろには、黒いコートと帽子を被った金髪の男がいた。こんなに夜も暗いのに、瞳がはっきり自分に敵意を向けているのがわかる。
そしてその言葉に、ジェムは少なからず違和感を覚えた。
「お母様を、知ってるの?」
ジェムのことをチャンピオンの娘と呼ぶ人は珍しくない。お墓参りにおくりび山を訪れる人々は大体そう呼ぶ。
母親もおくりび山の巫女という立場であり、一応おくりび山の代表者ではあるのだが。母親のあまり人と関わりたがらない性格と、時の流れ、グラードンとカイオーガの管理はジャックがしていることによってそもそも巫女という職業が無用になっていた。ジェムが生まれて数年後には、ジェムには巫女を継がせることはしないと話し合いで決めたらしい。
そうした背景があり、他人が母親のことを口に出すのはかなり珍しい。警戒するジェムに対して、金髪の男は鼻で笑った。
「はっ、知ってるさ。お前よりずっとな」
「……あなた、何者なの」
十年以上一緒にいた立場として、自分より知っていると言われるのは気分がよくない。問いかけに、相手はこう答える。
「何者ねえ……名乗るなら『闇のシンボルハンター』だ。くだらねえ通り名だがな」
「あなたが……!それじゃあ、あの人影もさっきのゴーストポケモンもそのために」
「そういうこった。腰抜け相手ならわざわざバトルしなくてもビビッて渡してくれるからな……最前線の施設もちょろいもんだぜ」
闇のシンボルハンターは、掌を前に突き出し開く。その手の上には、奪ったであろうシンボルがいくつもあった。
「あんな人影で驚かせて、必死に勝ち取ったシンボルを奪って……そんなことして、いいと思ってるの?」
「知ったことじゃねえな。どうせてめえも、俺にシンボルを取られて泣きながら家に帰るんだからよ」
「そんなことさせない。捕まえて、警察の人に引き渡してあげるんだから」
「はっ、さっきまであんなにビビってたくせに強気だねぇ。臆病で弱いくせに他人には強がる……ろくでもないところばかりあの女に似たもんだ」
「お母様は弱くなんかない!馬鹿にしないで」
やはりジェムの母親を知っている口ぶりだ。そして見下していることも見て取れた。自分の愛する家族を馬鹿にされて平気でいられるジェムではない。
「随分と大
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