暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
闇のシンボルハンター
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にハグをして。自分の能力、人のマイナス感情を吸収する力を使ってジェムの心を落ち着かせる。そして、彼女の腰のモンスターボールを示した。
中には、支えてあげるべき少女が泣いているのをもどかしそうに見る仲間たちがいる。ジェムは全てのモンスターボールのスイッチを開き、頼れる仲間たちを呼び出した。

「……ありがとう、みんな」

 まだ涙声ではあるが、恐怖心は消えていた。ずっと自分を支えてくれた友達が傍にいるなら、暗闇もゴーストポケモンも怖くない。

「さあ、今度はこっちの番だよ!」

 ジュペッタとヤミラミが同時に黒い爪を振るってゲンガーを切り裂き続ける。マリルリとクチートがデスカーンにじゃれついて、その体を金色の折り紙で遊ぶように折り曲げる。ラティアスが、強力な念力でオーロットと枯れ木を捻じ曲げ、キュウコンの炎がまとめて焼き尽くした。
倒れた相手のゴーストポケモンの怨念に引き寄せられるように、次のポケモンが寄ってくるが、澱みなく倒していくジェムたち。
5分ほど戦って、ようやくポケモン達は寄ってこなくなった。

「終わったね……みんな疲れてたのにごめんね」

 バトルピラミッドの疲労は残っているからもう休もうと思ったのに、結局戦わせてしまった。労いつつも謝るジェムに、仲間たちはみんな交代交代にジェムを撫でたり、抱きしめたりする。
しばらく触れ合った後、ジェムはボールに戻そうとするが、皆首を振った。まだ危ないからみんなで帰ろうと言ってくれているようだった。

「……じゃあ、あの子には悪いけどのんびり歩いて帰りましょう」

 強がる弱い自分を、認めて傍にいてくれることに感謝して。今度こそ来た道を戻ろうとした、その時だった。


『そんな自分の手持ちに甘えっきりで、俺の娘であることを誇るのか?』


 肩が震えた。よく知る父と同じ声で、でも絶対に口にしない言葉だった。周囲を見渡すが、さっきの人影はない。

「さっきから……誰がこんなことをしているの!ミラ、『見破る』!」

 ヤミラミが、瞳を凝らして敵を探知する。ジェムが大声で叫ぶが、返事はない。代わりに、また呪文のような囁き声が耳元で響く。

『私達が与えたポケモンなのに、我がもの顔で指示を出すじゃないか。どうせ私のことも、偏屈な女だと見下しているんだろう?』

 母親の、たまに他人と会話するときに口に出す卑屈な言葉。でもジェムに向けられたことはなかった。

「そんなことない!さっきから、私の大事な人達を騙って……姿を見せなさい!」

 きっぱりと宣言した時、ヤミラミが敵の位置を見破った。瞳が光り、宝石のような輝く岩が飛んでいく。すると、突然現れた漆黒の球体が相殺した。言わずとしれた『シャドーボール』だ。

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