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提督はBarにいる。
トマトと女殺し・2
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焼いていく。焼き目が付いたら一旦取り出して、玉ねぎ半分とにんにくのみじん切り大さじ1/2、塩少々を振って炒める。

 ここにホールトマト。トマトソースを作る時はカットトマトよりも味が出やすいので、ホールトマト。これを潰しながら強火で加熱して酸味を飛ばす。ここにラムチョップを戻したら塩と、同量くらいの砂糖。砂糖入れないとコクが出ないからな、砂糖は重要だ。味付け終わったら蓋をして中弱火で10分煮込む。その間に付け合わせのクスクスを茹でておこうかな?

 クスクスってのはパスタなんかに使われるデュラム小麦の粗挽き粉に水を含ませ、1mm位の粒にしてそぼろ状態にした物だ。国によっては主食にもなっている。ブイヨンで煮たり肉料理の付け合わせなどに使われたりもする。味は米粒サイズのパスタ、って感じだな。

「さぁできたぞ、『ラムチョップのトマト煮込み』だ。」

 ラムは大人のマトンに比べてクセが少ない。肉も柔らかいし食べやすいだろう。

「ラムは初体験ですが……さほど臭くないんですね。トマトソースとの相性も素晴らしいです。」

 ラムに酒が進むらしい、ハーベイ・ウォールバンガーをゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいる。

「っぷはぁ。しれい、お代わりもらえますか?」

 ん?少し口調が砕けてきたな。もう少し……か?

「おぅ、ちょっと待ってな。」

 よし、酔って少しは味覚も鈍ってきているだろう。ここいらでウォッカ以外のベースのカクテルも飲ませるか。

 用意したのはゴールドラム。その名の通り、熟成中に金色に変化したラム酒だ。まずはこれを30ml。クラッシュアイスを入れたオールド・ファッションド・グラスに注ぎ、更にピーチリキュールを25ml。仕上げにフレッシュライムジュースを加えてカットライムを飾り、太めのストローを刺したら完成。

横浜老舗のバーが発祥のカクテル、『ジャック・ター』。ピーチとライムの爽やかで甘い口当たりが心地よく、飲みやすい。しかしアルコール度数は高め。飲みすぎには注意しよう。…まぁ、今夜は酔わせるのが目的だからな。ケケケケケ!

「ハイよ、桃とライムのミックスジュース。フローズンドリンク風だから、氷と一緒に飲むと良いぞ?」

 太めのストローでズルズルとすすり上げる不知火。少し頬にも赤みが差してきたな。効いてきてるな?

「……しれい?よければ、こちらで一緒に飲みませんかぁ?」

 おっと、思わぬ発言。これに乗らない手はないだろう。俺はグラスと自分のボトルを持って、不知火の横に腰掛けた。

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