第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#36
星魔の絶戦 千変VS星の白金W〜Blood scissor's King Leo〜
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うな、
得体が知れずしかし歴然とした脅威が否応なく胸を逼迫する。
その真紅の双眸に映るモノ、それ、は。
『LUUUUUUUUU……GGG……』
二本脚で屹立する獅子、血色の甲冑、刃の鬣で形創られた、魔想の獣王。
ギザギザの牙を剥き出しにした頭部、鎧の継ぎ目さえ被甲で覆われた鋼の胴体、
しなやかに伸びた手足の先に、その機能性とは裏腹の凶々しい裂爪が生えている。
装甲内部の無垢な美少年の姿など想像もつかない、
まさに凄惨と暴威が具現化したかのようなその形態。
古 よりの伝承として、吸血鬼は獣にその姿を変える事が出来ると云う。
しかしその特性はおそらく、封絶無き時代、
邪 剣を遣った者の姿を、
狂乱に陥った人々がそう錯覚したのだろう。
(或いは、また別の魔具によるものか……)
いずれにせよ、承太郎、シャナの見解は間違っていた。
この戦いの主導権はティリエルに有り、彼女を戦闘不能に追い込めば
勝利したも同然と。
しかし “真に怖ろしいのは” 大樹を操るティリエルではない、
邪剣を携 えるソラトの方だったのだ。
『LUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOO
OOOOOOO――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!』
その咆吼は、周囲に吹き荒ぶ血色の暴威を伴い、幻想の大樹全体を震撼させた。
兜 の部分が兇悪な顎と化した獅子の王が、
両腕を押し広げ天空に向かって吼えたと同時に、
その体躯は駆け巡る残響すら置き去りにする。
グァヴゥッッッッ!!!!
「――え?」
気がついた時には、既にその牙が少女の左肩口に深々と喰い込んでいた。
肉の壊滅音も骨の掘削音も、頭蓋を劈く激痛すら全て後からヤってきた。
「あぁ!! ぐぅ!! あううううううぅぅぅぅぅッッッッ!!!!」
状況を認識出来ないまま、少女は空中で剥き出しの叫声をあげた。
スタープラチナよりも迅い!? そんな疑念を呈する暇すらない不可避の速攻。
ギリギリと喰い込む鋼の牙は痛ましく噴き出した鮮血に塗れたが
同色であるため啜られるように装甲へ融け込んでいく。
傍で間断なく聞こえる悲痛に一片の慈悲すらなく、
ソラトはシャナの躰を貪った。
対象の存在など意に介さない、余りにも純粋な殺戮衝動だった。
「こ、このぉッッ!!」
凄まじい激痛の累積に、瞳に涙すら滲ませて少女は双翼に力を込める。
まずは脱出、能力を見極めるもなにも、このままでは心臓まで喰い破られる。
だがその僅かな挙動、微かな空気の振動すら獅子の王は鋭敏に
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