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第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#36
星魔の絶戦 千変VS星の白金W〜Blood scissor's King Leo〜
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《は》き出しているように見えた。
 溜めに矯め込んだ苦悶を、惨苦を、そのままソラトへ注ぎ込むように。
「お兄様……」
 蔓の台座に立ち、哀切の祈りを捧げながら兄を見守る双子の妹。
 それを嘲笑うように突如身を貫いた大剣が無数の刻刃に変形し、
瞬時に散開してソラトの四肢に絡み付いた。





 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッ!!!!!!





「――ッッ!!」
 承太郎との関わり合いにより、
その戦闘思考がスタンドバトルに傾倒しつつあった
少女を誰も責められない。
 しかしその少女でなくとも、
己の認識を根底から覆すような事態を目の当たりにすれば
驚愕に躰が硬直するのを制御出来ないだろう。
 紅世の宝具、惨苦の邪剣、 “吸 血 鬼(ブルート・ザ・オガー)
 シャナは元よりその存在を知るシュドナイ、ヴィルヘルミナであっても、
その本質は変則的殺傷力を宿した 「武器」 としか認識していないだろう。
 持つ者の力量と合わされば、
それだけでも充分脅威と呼べるため妥当な見解ともいえる。
 だが違う、違うのだ。
“吸血鬼” の名を冠していながら、その剣は血を “吸わない”
生命エネルギーも喰らわない、能力によって噴き出す血は単なる二次殺傷の余波だ。
“では一体ナニを()っているのか?”
 苦痛だ、苦悶だ、巨大な刃に断殺される、敗者の絶望の嘆きだ。
 正確に云えば、形而上、形而下、何れの血と肉が生み出す 『存在の力』
 変則的殺傷力は、その 「主力」 を充たすための副産物に過ぎない、
邪剣が嘆きを掻き喰らった後に派生するただの残滓に過ぎないのだ。
 つまり、紅世の宝具、 “吸 血 鬼(ブルート・ザ・オガー)” の
真の能力(チカラ)とはただの剣ではなく、
遣い手の総力を爆発的に高める生贄(エサ)
 啖いこむ苦悶の量に事実上制限がないため、
嘔き出す存在の力を呑み込めるだけの 『器』 がなければ
当然裡から決壊する。
がもし、それを可能とする者がいるならば…… 
 紅世の徒 “愛染自” ソラト。
 ティリエルの双子の兄にも関わらず彼は焔儀を遣わない、
炎弾は疎か封絶すらも修得していない。
 しかしそれは素質がないのではなくこの邪剣の本質を知った
ティリエルが意図的に行ったコト。
 無意識下の潜在領域、莫大な量の存在力を注ぎ込まれても器が決壊しないように、
(あらかじ) めその容量を 「空白」 にしておいたのだ。
「な……なに!? コ、レ……」
 少女の白い首筋に、チリチリと痛みにも似た痺れがザワめいた。
 いつかの “アノ男” と対峙した瞬間を想起するよ
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