第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#36
星魔の絶戦 千変VS星の白金W〜Blood scissor's King Leo〜
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る。
「何でティリエルが心配するの?
大丈夫だよ。お兄ちゃんだもん」
およそ識者である妹への返答ではなかったが、
理ではないが故にその言葉が心中の奥深くまで浸透した。
いつもいつも、自分が世話を焼いて支えてあげなければ
という焦慮に駆られていたが、
本当に支えられていたのは自分の方だった。
こんなに脆く壊れやすい精神、それでも必要としてくれる、
護ろうとしてくれる存在が当たり前のように傍に在った。
「……」
炎気を練る時間は十二分、
麗しき兄妹愛を黙って見守る感傷はシャナになかった。
無論あからさまに構えれば気づかれる、
故に警戒していると見せ掛けて細く、静かに、
点描画の如く少女は焔儀を形成していった。
発動の瞬間、出来れば着撃の時まで気づかせない、
今の自分は未知の能力を看破しようと試みる観察者、
その事実を悟らせないため執った擬態に精神が同調していった。
膠着という霧の中に刃を潜ませるシャナの策、
ソレに気づかず懸念も持たず、
ソラトは手にした宝具の大剣を抱えるように捧げ持つ。
「――!?」
しかしその構えは、およそ一切の流派に存在しない奇怪な、
否、構えと呼ぶのも馬鹿馬鹿しい破綻した姿。
剣の持ち手が逆、相手に向けられるべき切っ先が自身の胸部中心を差している。
切り札、必殺の概念とは真逆な、自決の光景。
コレが戦闘の構えであったなら、如何に高度なものにしろ怯まず
シャナは策を実行しただろう、しかし予測の遙か向こう側、
気が違ったとしかいいようのない行状にはただ唖然とする他ない。
「えいやっ」
放心する少女を余所に、ソラトは切迫感のない声で、
“己の躰を貫いた”
血塗られた刀身はするりと何の抵抗もなく
持ち主の胸を裂き反対側へ突き抜ける。
咄嗟に浮かんだのはヴィルヘルミナと交戦した男、
しかしアレは相手から受けた傷を恨みに転化するものであり、
何よりこの少年は 『スタンド使い』 ではない、同じ能力は二つ存在しない。
自身が混乱している事に気づかないシャナを置き去りに、
その 『能力』 は発動した。
『スタンド能力』 と “紅世の宝具” の異能偏差。
後者の能力は “一つとは限らない”
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッッッ!!!!
シャナと承太郎に見舞った時同様、血色の刃紋が浮かび上がった。
しかしソレは刀身にではなくソラトの全身に。
ズグン、ズグンッ!
大きく歪曲を繰り返し、脈動する感覚を伴って拡がっていく血の刃紋は、
啖うのではなくナニカを|嘔
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