日本酒が苦手なアナタに送る
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ル瓶を差し出した。他の席やテーブルの方にもグラスとビール瓶を回して、グラスに注がせる。
「ハイ、あなた。」
「お、おぅ。すまんな。」
なんだか初々しいねぇ、この二人。
「もしかして、二人はケッコンしたばっかりなのかな?」
「いや、お恥ずかしながら。」
「まだ半年経ってないんですよ。」
どうりでね。ウチの嫁艦達みたいに遠慮とは逆に、遠慮というかぎこちない距離感があるものな。
「んじゃ、そんな新婚さんの前途を祝しまして……乾杯!」
「「「「「「かんぱ〜いっ♪」」」」」」
グラスの中身を一気に飲み干し、ビールの中身を空けにかかるウチの空母達。それに比べてチビリチビリと嘗めるようにビールを飲む中将。
「あれ、もしかして酒は苦手かい?」
「いや、どうにも大将殿に直接振る舞って貰うというのは……」
どうにもこの人、そういう所は真面目らしい。まぁ、良い事だけどさ。
「ハッハッハ、気にしなさんな。俺の趣味というか道楽でやってるんだから。オッサンの暇潰しにと思って、付き合ってくれよ。」
「そうそう、遠慮するだけ損だよ〜?…ってワケで提督、アタシ等のテーブルに日本酒!一升瓶でね〜♪」
「お前は遠慮しろよ隼鷹!」
こんな騒がしい空気が少しは楽しくなってきたのか、緊張気味だった中将の秘書艦の翔鶴さんから笑みが零れた。これで少しは打ち解けてくれるといいんだが。
「……で、ご注文は?」
「あ、じゃあ日本酒と……簡単に摘まめるものを何品か。」
中将の注文に顔が暗くなる翔鶴さん。
「あれ?あなた確か日本酒が苦手じゃあ……。」
おやまぁ、また何で苦手な日本酒を。
「実は昔、二十歳になりたての頃に居酒屋で熱燗を飲んだ時に酷い悪酔いをしてしまいまして……。」
ふむ、熱燗で悪酔い……ねぇ。
「それ以来、独特の匂いや強い甘さが苦手になってしまって……。」
確か日本酒嫌いの人からはよく聞く話だ。他のワインやウィスキー等の洋酒に比べて、日本酒はアルコール度数が高いし、強烈なアルコール臭や強い風味は初めての日本酒が熱燗というのが大きいだろう。
熱燗は熱を加える事で日本酒の風味や香りを引き立たせる物だが、燗を付けすぎるとアルコールが熱分解され、アンモニア臭や酔いの原因となるアセトアルデヒドが増加してしまう。
「なので、もしも苦手な日本酒を克服できれば……と。」
「なるほどねぇ、まぁ俺はプロじゃあないからどれだけアドバイスできるかは解らないけどね。」
とりあえず先にツマミを出していこうか。
皿に大葉を敷いて、その上にスライスした人参。そこにKiriのクリームチーズを乗せて、仕上げに鰹の内臓の塩辛
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ