訓練の様子
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パイロット妖精は先の大戦のパイロットの英霊の生まれ変わりだという説が有力で、その証拠に江草隊長・友永隊長の両名のように、他にも何人かの有名なパイロットの生まれ変わりが見つかる事がある。今回もそのパターンで、零戦虎徹が発見された。
それを聞いた工廠妖精に明石、夕張が大ハリキリ。零戦五ニ型を改造し、五三型を造り上げてしまった。五ニ型のエンジンを水メタノール噴射装置付きの栄三一型エンジンに換装し、弱点とされていた燃料タンクの防弾を強化した機体だ。一般的な零戦二一型に比べて武装を強化した五ニ型に、エンジンの燃焼効率を高めて性能をアップした事で運動性能を損なわずに速度や航続距離を伸ばした事で、烈風改に食らい付く。格闘戦となればその小回りは顕在であり、烈風の背後を取って得意の巴戦に持ち込んでいる。やはり指揮官の教えが良いと、部下の腕前も上がってくるものらしい。次々と烈風がペイント弾を被弾し、飛行場に降りてくる。最後に残った烈風の小隊長は岩本徹三妖精自らが追いかけ、熟練ならではの芸当『燕返し』で一瞬にして背後を取り、トドメを刺した。
「やったぁ!特訓の成果が漸く……!」
岩本小隊を預かっている瑞鶴が嬉しそうに飛び跳ねている。対する加賀は少し不満そうだ。俺の側に控えていたが、ツカツカと近寄っていき、
「他の鎮守府の提督の前よ、はしたない真似は止めなさい。」
と、鋭い眼光で諌めた。明らかにシュンとして見える瑞鶴。
「…けれど、艦戦の腕前は見事だったわ。よく頑張ったわね、瑞鶴。」
そう言って頭を撫でている。撫でられている瑞鶴も、嬉しそうにエヘヘと笑っている。相馬中将の翔鶴さんは有り得ない物でも見るかのように驚いているが、まぁ珍しいよな。一航戦と五航戦……特に、加賀と瑞鶴は仲の悪さで有名だ。ウチの二人は仲違いした時期もあったが、今では良い先輩後輩といった仲だ。ただ、こんなに褒めてやるのは珍しいが。俺がニヤニヤしながら加賀を出迎えると、尻をつねられた。止めて下さい、痛いんですけど。
その後もドイツ製の艦載機の模範飛行や、艦娘による一斉発艦など、様々な状況を想定した訓練を視察してもらった。
「視察としてはこんな物かな。少しは参考になればよかったが。」
「いえいえ、とても有意義でした。ありがとうございます。」
気付けば時刻は夕暮れ時。熱心に視察しているモンだから、昼食も取らずに続行していたが、そろそろ空腹も限界だろう。
「…さて、と。そろそろ良い時間だし、ささやかながら君達をもてなしたいと思うんだが……どうかな?」
「えぇ、是非。」
そのやり取りを聞いてざわつく空母達。勘弁してくれ、お前ら全員に奢ってたらウチの財政が……。
「でも、私達だけと言うのは申し訳ないですし、良ければ
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