ウチの航空部隊事情
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今日は以前から予定されていた本土から来る提督が視察に来る日。さすがに徹夜明けで出迎えるワケにもいかず、昨日は店を早霜に任せて早めに休む……つもりだったのだが、金剛の奴にキッチリ搾り取られてしまった。アイツも少しは考えたのか、限界までは搾られなかったが心なしか身体が怠い。
「ふぁ〜…んぐ。」
堪えきれずに生欠伸を噛み殺すと、横から尻をつねられた。
「何をしてるんですか。もっとシャキッとしてください。」
うぉう、流石は元戦艦、眼光が鋭すぎるぞ加賀。今回は航空部隊を主とした視察の為、秘書艦は加賀にしてある。まぁケッコンしている艦だし、体裁は保てるだろう。と、庁舎の裏に建設された飛行場に近付いてくる双発の発動機の音。どうやらおでましらしいな。ヴゥゥゥ……ンと鈍い音を上げながら下りてきたのは月光。また珍しい機体を移動用に用意したモンだ。
複座式の夜間戦闘機である月光。試作段階では双発三座式のの陸上戦闘機となる予定が、最初の生産時期の物はニ式陸上偵察機として生産。その後、現場で施された改造案が正式採用されて斜銃と呼ばれる仰角を付けた20mm機銃を装備した形でロールアウトした数奇な運命の機体。ウチにも何機か配備されているが珍しい事には変わりない。やがてゆっくりと着陸体勢に入り、出迎えの俺達の前でピタリと止まった。パイロットはかなりいい腕をしているらしい。少し間があって降りてきたのは、白い軍服に身を包んだ男性と、その秘書艦であろう艦娘だ。
「相馬六郎中将です。本日は急な申し出を快諾して頂き、感謝しております。」
「秘書艦の翔鶴です。本日は宜しくお願い致します。」
俺達の側までやって来た二人はビシッと直立不動で敬礼する。まぁ、階級的にも年齢的にも俺の方が上だから緊張しているのだろう。
「ここの鎮守府を預かる金城だ。今日はよろしくな。」
「航空部隊を執り仕切っている加賀です。本日は宜しく。」
海軍だからな、礼儀は大切だ。俺達二人もしっかりと返礼をする。そこに駆け足で近寄って来たのは吹雪と初雪、白雪。
「遠路はるばるお疲れ様でした!まずはこの鎮守府の航空部隊の全容をご説明致しますので、此方へ。」
吹雪には客人の先導係、初雪と白雪には客人の荷物を預からせた。
「はぁ……立派な物ですね。」
相馬中将は会議室へと向かう間、物珍しそうにキョロキョロと周囲を見回していた。美保の提督もそうだったが、そんなに立派な造りだろうか。
「いやはや、噂には聞いてましたがまさに『城』って感じですね。」
「噂ぁ?」
おっと、思わず素が出てしまった。もうしばらくは猫被って礼儀正しくしておくつもりが。オホン!と大きく咳払いをして誤魔化し、
「どんな噂かお聞かせ願えるか
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