冬の味覚・3
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二人。仕方ねぇなぁ……。
「わかったよ。仕込みに時間掛かるから、もう一杯飲みながら待っててくれぃ。」
「「は〜い♪」」
ったく、こういう時だけ都合がいいんだから、ったく……。
ドライ・ジンとスイートベルモットをそれぞれ15mlずつに、レモンジュースを1dash。これをシェークして氷の入ったオールド・ファッションド・グラスに注ぎ、更に白ワインも注ぐ。仕上げにレモンピールを絞りかけたら完成。
「『ローマ・ホリデー』だ。これをチビチビやりながら待っててくれ。」
俺はその間に〆の一品を支度しよう。
まずはブリを塩を振って焼き、米を研いで土鍋に入れる。炊くときにはかつお出汁を入れて、米に出汁を吸わせておく。
具材はシンプルに。薄揚げを油抜きして短冊切りに、青ネギは小口切りにしておく。
ブリが焼けたら土鍋にブリと薄揚げを加え、醤油・酒・みりんを大さじ1ずつ入れて炊く。
「しっかしなぁ。昔は鬼のようにおっかなかった提督が、こんなに丸くなるとはねぇw」
しっしっし、と笑う隼鷹。この二人は空母組の中では古参の部類。一番最初の空母が隼鷹、続いて龍襄、赤城、飛鷹だったか。
「確かに確かにw昔なんかちょっと遅れただけでも般若みたいな顔で怒ってたもんねぇ〜w」
こいつら……酔った勢いでベラベラと…(怒)
「オイお前ら。」
「へっ?」
「俺はいつでも、『昔』に戻ってもいいんだぞ?えぇ?」
少し睨みを利かせて脅かしてみる。
「いやちょ、ちょっと冗談だって提督ぅ〜。今の鎮守府の雰囲気がいいんだからさぁ。」
「そっ、そうよ!皆今のアナタの人柄が好きで頑張ってるんだから!」
そんな事は百も承知だ。提督になりたての頃の俺は、部下である艦娘にナメられてはいかんと肩肘張ってピリピリしながら生活していた。…だが、加賀の件が俺に気付かせてくれた。腹を割って話をし、艦娘達と協力して戦う。これが一番戦果を見込めるし、艦娘達が安全な事を。
「冗談だ、俺もあんだけ気張った生活に今更戻るのは疲れる。」
「たまの休みの日も、金剛さんに搾り取られるから疲れるしねぇ〜www」
ゴン、と鈍い音を立てて隼鷹の頭から火花が飛ぶ。余計な事は言わんでよろしい。
「ちょ、ちょっとした冗談じゃんかよぉ〜…。」
隼鷹はうっすら涙を浮かべながら、頭をさすっている。
「相変わらずバカやってるわねぇ、隼鷹はw」
飛鷹はそんな様子を眺めてクスクスと笑っている。…そんなバカ話をしている間に、土鍋がイイ感じだな。
ご飯が炊き上がったら青ネギを散らし、ブリの身をほぐしながらかき混ぜる。
「出来たぞ、『ブリの炊き込みご飯』だ。」
「美味っ!美味っ!」
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