634部分:第九十一話 聖域への攻撃その四
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第九十一話 聖域への攻撃その四
彼等はその小宇宙を強くさせた。そのうえでだ。
シャカを押し切り潰そうとする。それに対して。
シャカもまた小宇宙をさらに高めてきた。そのうえで。
「むん!」
何とであった。四柱の神々の小宇宙を押し切ったのである。これには神である我等も驚きを隠せなかった。それが声にも出ていた。
『何と・・・・・・』
『神の小宇宙をだと』
『退けたというのか』
『人間が』
「このシャカは最もアテナに近い男」
このことは何度でも言ってみせるのだった。
「それに」
『それに!?』
『今度は何だというのだ』
『一体何なのだ』
「人間を侮らないことです」
彼が今度言ったのはこのことだった。
「そうおいそれとです」
『ふん、人間なぞ』
『所詮は我等に治められるもの』
『神の僕でしかない』
『その通りだ』
シャカの言葉を受けてもであった。彼等の考えは改まる様子はなかった。まるでそれが絶対の摂理であるかのようにである。変わることはなかった。
『それで何故だというのだ?』
『侮らないとはな』
『そんなことは有り得ない』
『決してだ』
「その言葉」
シャカの言葉が強いものになった。
「後悔しなければいいですが」
『神は後悔しない』
『それが神だ』
『所詮人の戯言でしかないな』
「戯言かどうかも」
シャカの態度は変わらない。悠然とすらしている。
そうしてだった。四闘神はその姿をシャカの前に現わしてきたのである。
しかしその姿は透き通っている。実体ではなかった。
「精神だけ送って来られたのですね」
「ふむ、これがか」
「今のバルゴの黄金聖闘士か」
「成程な」
シャカの姿をまじまじと見ての言葉である。その身体には既に戦衣を身にまとっている。赤い血を思わせる禍々しい輝きもそのままである。
「よく似ている」
「いや、同じか」
「そうだな、同じだ」
「あの時と」
同じだというのである。それが彼等の言葉だった。
「やはりこの者達の魂は引き継がれるのだな」
「永遠に」
「先のハーデス様との戦いもそうだったな」
「見させてもらった限りではな」
「成程」
シャカはその彼等の言葉を聞いたうえで述べた。
「どうやら貴方達は私達全ての前世を知っているのですね」
「知らない筈がない」
「だが。貴様はどうやら」
「知っているな」
「その時のことを」
このことを察しての言葉だった。
「既にだ」
「無論」
目を閉じたまま恐ろしいまでの小宇宙を放ってきた。
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