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ep.032 脅迫状
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ことだ。
studentの重役たちは勝哉がいない最悪の状況を把握し、その上で自身の役割を理解していたのだ。
そして各自からの情報を聞き漏らさずに、的確に他者に伝え、各自に仕事を手早く割り振っていく悠持の実力も大したものだった。
『俺は野口が居ることで戦うことだけを考えていられたが、アイツが居なくなればstudentを支えなきゃならないのは俺だ。』
悠持がここまでこだわる理由は、誰よりも先に勝哉とstudentを始めたことで重役感を感じていたのだ。
数分後ー
objectの拠点の図面を入手した飛鳥は、子規と協力して作戦を立ててきた。
「......なるほどな。 だが、お前はリスクが大きいぞ。」
悠持の心配に対して発案者の子規は笑顔で返す。
子規の思考は所々ぶっ飛んではいるが、作戦の1つ1つは緻密に組まれているためとくに大きな問題が発生することは早々ない。
その後、悠持の指示によりstudent全員と聖持、仁も準備を済ましいよいよ戦場に向かうこととなった。
『必ず俺が助け出してみせるから、だからそれまで安心して待っていてくれ佳奈。』
連合はobjectの拠点を目指して動き出した。
そしてその光景を、1人の青年が観察していた。
「フフッ.....studentか...。 情報のみで把握していた組織に過ぎなかったが、これは思っていた以上に崩すのは難しそうだな。 流石は"野口くん"と言ったところかな。」
そう言うと、青年はゲートのようなものを発生させ自分を潜らせ消えた。
その頃ー
objectの拠点では叶瀬 叶と比屋定 時雨が話していた。
どうやら時雨は少々怒っているようだ。
「ねぇ叶。 人質ちゃんをこんな使い方して、これじゃ意味がないと思うんだけど。」
「何言ってやがる。 俺達がこれからするのは"残党狩り"だ。 人質はそのためのエサだよ。」
時雨は無邪気な叶の意見を聞いて呆れる。
彼が生粋のゲーマーであることを忘れていた自分に呆れてしまったのだ。
『ホントに叶と居ると退屈しないわね。』
すると叶は時雨を振り向かせ、頬に触れると殺人鬼とは思えないくらいの暖かみのある表情をする。
「どんなことがあっても組織とお前は守ってやるよ。」
時雨はその一言にドキッとして頬を赤くする。
それを見て叶が時雨をからかう。
「ははぁ〜ん。 さては俺に惚れたか?」
時雨は何処か心の底を見透かされたような気がして、頬を赤らめたままそっぽを向いた。
「違うし.......バーカッ.....。」
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