秘密の部屋
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「わ、私はもう関係ないだろう?マキナ君、縄を解いてくれ!」
「黙るがいい。この場で貴様に物を言う資格はない」
倒れ伏したロックハートのネクタイを掴み上げ、腰を曲げて見下ろした。
「僕の名を呼ぶのは僕が許可した者のみだ。この場に於いて貴様は唯粛々と、諾々と、従え」
髪も服装も少々乱れたロックハートは青ざめた顔で、僕の顔をぼうっと見ていた。
スリザリン純血魔法族非魔法族、僕に言わせれば須く人間という一種族に過ぎないのだ。
ハリーは手洗場の蛇の形をした取っ手に触れ、蛇語で開けと囁いた。
大口を開けた其処は真っ暗な穴。
ロンは容赦無くロックハートを穴に突き落とし、次々と穴へ落ちていく。
鼠やそういった小動物の骨が散乱する中、巨大な蛇……バジリスクの蛻が横たわっている。
其処はパイプの集中する場所だった。バジリスクは校内を這い、外から魔法によって迷い込んだ小動物を喰い、1000年を生き延びていた。
バジリスクの為の場所。それこそがスリザリンの秘密の部屋。
ロックハートは恐れに尻込みし、油断したロンを突き飛ばして杖を奪った。
「1対1で負けたというのに懲りない奴だ」
「だが君も容易に動けまい。お友達の命と記憶が掛かっている」
ロックハートの言葉に肩を竦める他ない。
焦るハリーはロックハートの牽制に杖を取り出せず、唯ぎりりと彼を睨んだ。
ロックハートの杖先は僕に向けられている。
「君達は哀れ、怪物を見て気でも狂ったと伝えておこう。そうだね、君は特別に私の傍に置いてあげよう。精精助手として客寄せパンダになっておくれ」
「やれやれ……」
「マキナ!逃げるんだ!」
「良い機会だ。ロン、芯のはみ出た杖を使うとどうなるか、知っているか?」
「はァ?!今そんな場合じゃないだろっ」
「記憶に別れを告げるがいい!オブリビエイト《忘却せよ》!」
ドンっ!!噴出した銀緑の光弾は折れた部分を起点に逆噴射し、不意を突かれたロックハートは吹っ飛んで壁に打ち当たる。
ガラガラと天井と壁が崩れ落ちてロン、僕とハリーへと分断される。
「……」
「……」
「このように魔法を使うに当たり不備を来す。魔力の逆流現象だ。故に杖のメンテナンスは定期的に行う事。杖には忠誠心というものがあるからね」
岩で埋まった其処の穴から顔を出し、ロックハートだった物を窺う。
「……うう、此処は何処だい?君の名前は?」
「初めまして。僕はマキナ・キサナドゥです」
「へぇ、いい名前だね。それで、私は誰だい?」
記憶を失ったロックハートだった物はあっけらかんと笑った。
「ステューピファイ《失神せよ》」
「うわぁ……」
失神呪文を掛けてロックハートだった物を大人しくさせる。これで試金石も邪魔ものも消えた。
「先に進むとしようか」
「……。ロン、杖がな
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