秘密の部屋
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3階女子トイレは元々存在しない場所だった。ホグワーツ創設期。様々なギミックをホグワーツ校に詰め込んだ4人の魔法使いはぽっかりと空いたその区画を誰が使うか話し合い、時に競い合って取り合った。それこそお遊び(ごっこ)ではなく本気であり、しかし命を奪わない程度の決闘。実力が拮抗していたグリフィンドールとスリザリンは僅かな差でスリザリンが勝利する事となる。
珍しくこのような戯れに参加したスリザリンだったが、彼は其処を唯のオブジェのある広場とした。
決して撤去が出来ぬよう、そのオブジェに幾重にも固定化の魔法を掛けて。
時が経つにつれ其処は改装され女子トイレとなったが、固定化のされたオブジェだけは其処に名残として残り、何時しか使われる事すらなく……1人のゴーストの住処となっているばかりである。
ハーマイオニーが石にされ、ハグリッドがアズカバンへ送られた。遂に事件はホグワーツ閉鎖の危機に迄発展している。
未曾有の事態、50年前の再来。
僕はサラザール・スリザリンの秘密の部屋の入口にて立ち竦む。
「よく見つけたね、ハリー、ロン」
「き、君は……」
「マキナ……?どうして君が此所にいるんだい……?」
警戒したように僕を睨む彼らはどうやら僕を疑っているらしい。
杖を持たず両手を上げて見せる。敵対はない。
「今夜だろうと思っていた。ハリー、僕も連れて行って欲しい」
「な、何で……君は秘密の部屋の場所を知っていたの?」
「マートルとは前々から交流があってね」
トイレの方向に手を差し出せば、照れたようにマートルが手を乗せた。
「ハリー、本当よ。マキナは1年の学期末にあたしを見つけてくれたの」
「その時にマートルの死因もね……黄色い目玉を見ただけで死ぬだなんて、魔法生物以外の何物でもない。……君達が此処に来るのもまた運命だ」
「運命だって?!ジニーが連れて行かれた事も必然だったんだって言いたいのかよ!!」
ロンの言葉に否やはない。
「遅かれ早かれ誰かが直接的に狙われるだろうとは思っていた……だって不思議に思わなかったか?ノリスも被害に遭ったマグル出身者も、石になっただけで誰1人死んでいないのだよ?」
そう何度も偶然があって堪るものか。意図的に殺さなかったのだとしてもおかしくはないのだ。
これはけして悪戯等ではないのに。
ハリーもロンも戸惑ったように顔を合わせている。
「……戦いに行く君達に今言うべきではなかったやもしれないな。だが、迷う事勿れ。されど心の隅にでも置いておいて欲しい。……彼もまた加害者であり被害者であると。……インカーセラス《縛れ》」
「「ッ?!」」
杖先から飛び出した縄が2人の"間を摺り抜け"、逃げ出そうとした人影を縛り上げた。
「君は……何を知っているんだ……?」
「識っている事だけ」
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