秘密の部屋
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リン生の、かい?」
知っているのかとハリーとロンに詰め寄られる。
「知っているも何も……いや、そうだな、彼は随分と優秀で優等生だったようだが」
「それだけ……?」
「……その頃の彼は危ういものだった。"切り離された彼"の"今"はどうか知らないが」
「え、」
あまり責めてやらないでくれ、と言葉を置き去りに、僕は寮へと去った。
*****
またロックハート氏がやらかしたらしい。
ひっきりなしに羽を生やした小人が来ては何やらカードを撒いて恋文を読み上げラッパを吹き鳴らす。
食事中と授業中は勘弁して欲しいのだが。まあそれ以外の時は目眩まし術で姿を消しているのだけど。
流石に腹に据えかねている。
「という訳で匿って頂けないでしょうか」
「……入りなさい」
今日はバレンタインデー。去年は普通にカードを手渡される程度だったのだが……。
ローブのフードを被った僕はショルダーバッグを抱えスネイプ教授の執務室へ立ち入る。
今日が終わるまでメッセージ攻撃が止む事はないだろう。小人……基屋敷下僕妖精の死んだような目は精神衛生上宜しくない。
テーブルの方に座るよう言うと教授はデスクにてレポートの添削を再開した。容赦無く辛口な点数を書いては傍らの紙にその点数を書き込んでいるらしい。僕の座るテーブルの上には香りのいい紅茶が。
それを少し口にし、僕もバッグから羽ペンと青のインク、下品ではない程度の金の飾りがあしらわれた便箋等を取り出した。使い易い位置にそれらを置き、バッグから更に10を優に超える手紙を取り出す。
人と戯れに交流すれば面倒事も多々ある。
1つ封蝋のされた手紙をペーパーナイフで切り、中を開く。
教授はチラとこちらを見、直ぐにレポートに目を向けた為どうやら黙認して貰えるようだ。
どれもこれもバレンタインに託けてパーティーに誘う文であったり、匂わせる程度の口説き文句や恋文その物の内容。……男性の割合が多いのはデフォルトだ。
1通1通丁寧に返事を書いていく。
前々から交流のある人間だけでなく、ホグワーツの生徒が部屋に宛ててある物も混ざっている。
「レディ、ホグワーツの皆に届けておくれ……多いけれど、」
20余りの手紙を束ねた紐を鉤爪で掴んだ青と白のコキンメフクロウは翼を広げてほうと鳴いた。
「……何処に入れていたんだ」
「彼女は僕のローブの首元に入り込んで眠るのが好きなようで」
元はウェッジウッドのティーカップだ、偽りの生を与えたに過ぎない。
「彼女の至福は主に触れられ、愛玩され、使われる事。いじらしいですよねぇ」
くつりと喉で笑い、そっと目を伏せ自身の唇に指を走らせる。
教授はひくりと頬を引き攣らせた。
「……ヴィーラの血でも入っているのかね」
「?何かおっしゃいましたか?」
「……いや、」
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