賢者の石
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り積もるグラウンドでは、魔法で動く雪で出来た白狐と白蛇が、2匹寄り添って眠っている。
*****
金色の目が闇の中でぎらりと輝く。
ホグワーツ魔法学校、西棟の屋根の上。その眼が見つめるのは3階禁じられた廊下から続く隠された空間。3人の少年少女の奮闘を、映画でも見るように。不遜に脚を組み、遥か高みから地上を見下ろすが如く。壁や床等の遮る物も、それにとってはあってないような物だった。
勇気ある少年の行動で悪者をやっつけた。
ドキドキワクワク大冒険。勧善懲悪。
─────────楽しいお遊戯で何よりだ。
「逃げるのか。逃げるのだな。なんと情けない姿か」
闇の帝王が聞いて呆れる。
黄金の王は小さな瓶を見下ろして傲慢に笑った。
「虫螻にも劣る寄生虫に成り果てて尚。そんなにも死が怖いか?ヒトに取り憑き汚泥を啜り、この世の理に叛いて怠惰に生を続ける事に何の意味がある?……そう、それは怠惰なり。傲慢で、強欲で、怠慢である。ヒトの身で不死等烏滸がましい」
ぐるぐると小瓶の中を蠢く霞のような悍ましいナニカを月明かりに翳した黄金は傍に控える黒い大蛇に向き直る。
「これは残滓に過ぎない。大部分は彼の地へと飛び去った」
足しにはなるだろう。黒い青年は差し出された瓶を手に取り呷った。
「……人には過ぎた願いじゃなかった?」
「僕は僕に優しくしてくれる人には甘いんだ」
人間は好きだよ、黄金は笑う。
「とても──とても─────愚かで愛おしい」
*****
学年末パーティー。寮対抗杯だの何だのには興味はなかったが出ない訳にもいかなかった。
4位グリフィンドール。夜間出歩いたとして150点を失った事が大きいだろう。
3位ハッフルパフ、2位レイブンクロー、そして1位がスリザリン。
スリザリンはグリフィンドールと同じ理由で50点減点されているが、スネイプ教授による優遇に加え、僕が自主学習により提出し続けたレポートにより700点を超える圧倒的点数を叩き出していた。
故に広場は緑と銀に彩られ、スリザリンはお祭り騒ぎ。残る三寮はお通夜状態である。
「よし、よし、スリザリン良くやった。─────しかしつい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて」
静まり返るスリザリン。
成程、人伝に聞いた噂……ハリー・ポッターが賢者の石をヴォルデモートから守ったという噂はしかと生徒の間に伝わっていたのだ。
それから次々とグリフィンドールに加点していくダンブルドア校長。そしてスリザリンを10点上回った途端、スリザリンは絶句、三寮が歓声を上げた。
「しゅー《調子の良い……狸爺め。大嫌いだ……殺してやりたい》」
「ははは。ごもっとも─────それにしても三寮は分かっているんだろうか?」
即ちスリザリンよりも、……レイブンクローやハッフルパフよりも。
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