賢者の石
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ス・フローバック!」
「僕はマキナ・キサナドゥ。マキナでいいよ、レティス」
「ま、マキナ君……っはわわぁ……夢みたい……っ」
顔を真っ赤にしてダッシュしていった彼女。
そして僕の周りに群がったスリザリン生。
「……えっと?」
「「「「「Trick or Treat!!!」」」」」
触れるとクッキーになる蝙蝠を撒き散らして寮に戻ったのは言うまでもない。
誰が吹聴したのか。今日1日ずっと追い回さるハメになった。目くらまし術を掛け続け夕食は談話室で取る程だ。
ミディアムレアのステーキを口に運びながら大きく溜息。
「気紛れを起こすからだよ」
「違いないな。まさか菓子一つであんなにも鬼気迫るとは」
「ねえ。Trick or Treat」
「君もか」
ぽん、と掌から黒い蝙蝠を生み出し、人型で向かいのソファーに腰掛けたリドルに向かわせる。
「僕にこんな凡庸なモノを渡す気?」
ぱっとリドルの手の中でジンジャークッキーになった蝙蝠。さくさくとそれを口に入れたリドルは指先をぺろりと舐めた。
「何だ、エロス路線で愛の妙薬でも混ぜれば良かったのか?」
「してたら殺してたよ」
「ははは。」
まあ、あるにはあるのだが。
軽くテーブルに滑らせ、立方体の包みをリドルの前に押し遣る。
「……何、これ」
「僕が用意してないとでも思った?」
大方生徒に渡したのが全て即興物だったから、すっかり忘れていた物だと思っていたのだろう。
リドルは恐る恐るリボンを解く。
「まあ何、幾ら菓子を出そうがお前は即興だ手品だ魔法だと難癖付けるだろう。その上菓子は食えばなくなる」
「……リング、」
蛇の掘りと緑の石の黒銀製のピンキーリング。
「ルーモス《光よ》」
杖先をその石に近付けて見せる。
すると石の色がスッと煌めいて変わった。
「アレキサンドライト。金緑石の一つ。昼のエメラルド、夜のルビーと呼ばれ、太陽光の下では緑、白熱光の下では赤になる。……この赤、リドルの目のようだろう?普段はリドルの好きな緑だしな」
大した物ではないけれどとチョコレートを摘み灯りを消した。
「大きさは自在だから蛇になろうと鼠になろうと付けていられる。首輪でも良かったが嫌がるだろうと思ってな」
「……」
……渾身のジョークだったのだが。
そんな中、遠くで足音が聞こえてきた、それもスリザリン全員分の。
「……?何だか騒がし……ああ、トロールが出たのか。どうせまたパーティーの続きでもやるんだろうが……まあ僕は寝るとしよう。リドル、僕は上に戻るが早目に姿を変えておけよ、」
「あ、……がと、」
「ん、?」
「ありがとう……」
「ん。……じゃ、Trick or Treat」
「……え、」
あ、また固まった。
「おいおい僕に言っておいて自分は用意してなかっ
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