暁 〜小説投稿サイト〜
ハリーポッターと黒き黄金
賢者の石
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に於いて失伝した事なのだから。
「それはこの本の……────この部分から引用しました。無論、実験して調査済みですが」
「……その本は、」
「[魔法薬学指南〜中級難易応用学〜]。私の書架にあります、今はもうない絶版本になります。後2種程同著者の物が今手元にありますが……宜しければ御覧になられますか?」
「……ああ」
この人本当に研究者基質だな、全く。
「夢中になり過ぎて寝食を忘れぬよう」
「Mr.キサナドゥは我輩をなんだと思っているのですかな?」
「前科があるのをお忘れで?」
「……」
1度本を貸した後スネイプ教授の所有する貴重な書籍を借りに来た際、2日紅茶しか口にしていないという時があったのだ。幾ら休日だとしてもそれは頂けない。

お忘れになるようなら届けに参りますので。
……、ああ……。

そして2日後、やはり大広間に来なかった為イングリッシュマフィンを手に訪れる事になったのは言うまでもない。

「……。君は我輩の母親かね」
「貴方は私の子供でしょうか?教授」
「……」

*****

ハロウィーンがやって来た。
朝からしつこい位にカボチャの甘い匂いが充満している。あちこちでTrick or Treatと声が聞こえてくる。
「《"深窓の王子(ゴースト)"》」
「……いきなり何を言うんだ」
「《君の渾名だよ王子。あまりに神出鬼没過ぎてゴースト扱いされてるの》」
まあ組み分けされたのを見られているのだから面白可笑しい噂ばかりなんだけど。
閉塞した全寮制は噂も娯楽か。それ位ならば問題ない。
来年から6年間新入生に誤解され続けるとは知らず。
気配を消し少し認識阻害を掛ければ誰にも気付かれない。授業の時は解除し、終わると同時に杖を振る。食事中は解除し、終われば杖を振る。
何事も腐らないように訓練すべきなのだ。
……見た目の問題で変に目立つのが面倒なだけなのだが。
朝から重たい南瓜パイに目を背け、パンプキンスープと白パンとサラダを摘む。
「み、Mr.キサナドゥ!」
「はい?、」
「と、Trick or Treat!」
黒髪をおさげにしたハッフルパフ生に目を瞬かせる。
名前を言ったのだから間違いではないだろう。
他寮、しかもよりによってスリザリン生に。勇気があるなと思った。今もスリザリン席の皆が凝視しているのに、僕の反応だけを伺っている。
「はい、どうぞ」
何だか愛らしく思えて少し笑って指を鳴らした。
白い袋に包まれたそれはまだ温かい。
「ドーナツなんだけど、食べれるかい?」
「!!だ、大好きです!!」
「そう、良かった」
それじゃあ僕もTrick or Treat、と。
手の上を踊ったのは色とりどりのチョコレート。
「ありがとう……君の名前は?」
「れ、レティス!レティ
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