賢者の石
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ルン・キサナドゥ。
桃源郷、理想郷を意味する苗字は自分で付けた。僕は異郷の人間だ、何て洒落を効かせてね。
幸いな事に僕の容姿は傍目から見て美しい。夢の国の星、なんていうファンタジーな名前も違和がないと言われるのは果たして良い事か、どうなのか。
先程の英雄殿の組み分けと同様、物音一つなく静まり返った空間。どうしてさっきまで目に付かなかったのか?疑問の声も掻き消える。
「……ほら、先程まで誰にもバレていなかった。杞憂だっただろう?」
「《……》」
ぎちり。手首の締め付けが強くなるのを他所に椅子に座る。
……が、何時になっても帽子が被せられない。
「……マクゴナガル女史?如何なされました?」
「!い、いえ……何でもありません」
さて、この組み分け帽子。ホグワーツ魔法学校創設者の4人が直々に魔法を込めたシロモノである。
歌って喋り英智を授ける。
心を読み、思考を読み、組み分けする役目を負っている。
本質はそこにはないがそれは閑話休題だろう。
「やあ、組み分け帽子」
『これはこれは……ようこそホグワーツ魔法学校へ。貴方様が此処ホグワーツに降り立たれたのを"革"身に感じておりました、真理の写見よ』
肌身基、革身か……面白い事を言う。
『まさか御入学なされるとは……より良い学生生活になる事を平にお祈り致しますぞ』
「ああ、ありがとう。……僕は今は生徒だから、そのように接してほしいな」
『ほっほっほ。では失礼して……、……ふむ、勇気は当然、柔軟で温厚で叡智を持ちながらも好奇心旺盛。そして何より機知に富んで狡猾さが人1倍。それ無くして生きていけなかったという事もあるが野心を宿している。随分と濃い人生を歩んで来た……どの寮に入っても自分らしく過ごせましょうな。グリフィンドールがよろしいか?』
「ん……そうだねぇ。……僕はけして明るい道だけ、栄光の照らす正義の道を歩いてきた訳じゃない。関わりたいと思うけれど、正義ばかりじゃ疲れてしまうよ。御免ね」
『ほう……やはりそう選ばれますか……ならば、』
スリザリン!!
蛇寮が拍手喝采に包まれた。
純血がどうとか出自は何処だとか興味の欠片もなく適当に流して目の前のサラダとローストビーフを口にした。
不味いという訳ではなくそこそこ。屋敷下僕妖精の努力が伺える。
「要るかい?」
「……え?」
「ちぃ《貰うよ》」
「ひゃ……ッ?!」
食事はそこそこにティータイムに入った僕はふと思い立ちリドルを呼んだ。袖に仕込んだ杖の先にコツンと頭を当てた掌サイズの黒蛇はブレスレットの真似を止めて一拍、黒いハツカネズミと化して皿に乗せられた一口大の肉に齧り付く。
驚いて叫ぼうとした生徒……マルフォイと言ったか、彼に掛けた沈黙呪文を杖を一振りして解いた。
「ティータイムは静かに頼むよ」
「あ、
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