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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十三話 キュンメル事件(その1)
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きは俺とエーリッヒはおそらく死ぬ事になるだろう。生き残るのはギュンター達憲兵隊だけだ。辛いだろうな、ギュンター。こんな時は一緒に吹っ飛ぶ方が楽だ。でも出来る事なら吹っ飛びたくは無い。上手くやってくれよ、エーリッヒ。


帝国暦 488年  8月 16日  オーディン  キュンメル男爵邸 ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ


キュンメル男爵邸の居間には四人の男女がいた。ミュッケンベルガー元帥父娘、フロイライン・マリーンドルフ、キュンメル男爵。司令長官が居間に入っていくと一斉に視線が向けられた。

「馬鹿な、何故来た」
「そうです、私達のことなど……」
「そうもいきませんよ、陛下が選んでくれた婚約者なんです。大事にしないと」
「しようの無い奴だ」
司令長官がおどけたような口調で、ミュッケンベルガー元帥が苦い口調で話す。

「司令長官、申し訳有りません。こんな事に巻き込んでしまって」
フロイライン・マリーンドルフの言葉に司令長官は気にするなと言うように手を振りながら椅子に腰をかけた。私とリューネブルク大将達装甲擲弾兵は司令長官の後ろに立った。

「フロイライン、先ずはココアを頂きましょうか」
フロイライン・マリーンドルフが司令長官にココアを用意した。司令長官が一口ココアを口に含む。それを見てからキュンメル男爵が話しかけてきた。

「ヴァレンシュタイン元帥、御来訪いただき有難うございます」
「男爵、私以外の人間は退席させても構いませんか?」
「私は動かんぞ」
「私もです」
「……困ったものです。誰も私の言う事など聞こうとしない」
溜息交じりに吐かれた司令長官の言葉にキュンメル男爵は面白くもなさそうに笑った。時折咳き込みながら。





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