第一章 〜囚われの少女〜
笑う首と望む結末
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――ああ、これから死ぬんだ。
そう思った今、私は死んだ。
けれども次には生きていて、死んだはずなのに生きていた。
そして目の前にまっすぐ在るのは断頭台。死への道だった。
これはきっと夢だ、また悪夢を見ているのだ。それならばできるだけ早く終わって欲しいと願った。
現実は、夢ではなく、無理やりここへ連れてこられたのだ。死神が現れたかと思うと、持っていた大きな鎌を突き付けられた。
死んだかと思った次の瞬間、気が付けばこの空間にいた。炎の色に包まれたこの異空間に。
目の前には首を切るための台と、そこへ行くためだけの道のみある。
最後の最後まで残っていた、心さえも私は捕えられてしまった。心の声はどこへも届かず、体がただ前へ進む。逃げ出したいという気持ちで、心が破裂しそうだった。
『もう、いや……死なせて……』
逃げ場というものは、残るは“死”のみだろう。そうすればようやく私は、自由になれるのだろう。しかしそれはなかなか訪れなかった。赦ゆるしてはもらえなかった。
『殺すなら早く殺して……』
呟きながら、これからまた私は殺されようとする。それは精神から破壊しようと何度も繰り返される。それでも私はなかなか死んでくれなかった。
少し前の私は死にたくない、生きたいと思っていたけれど、今は死ねたらいいと心から思うようになってしまったのだ。
死ねないことがこんなに苦しいなんて、死ぬことよりも辛いなんて。
どうして私は私を簡単に殺してくれないのだろう。こんな風になってまで、私はどこか心の奥で生きたいと望んでいるのだろうか。
のどがつぶされる瞬間に感じるのは息が詰まる感覚。痛みはないがその瞬間すべての時が止まる。次の瞬間、またやりなおし。
体中が見えない鎖でつながれているようで、逃げ出すことも指一本さえ動かすこともできない。
終着点でひざまずかされ、差し出した首が、透明な“枠”に固定される。
透き通りそうなまでに鋭い刃がおりると、視界が血塗られる。
気が付けばまた、はじめからやりなおし。
こんなにまで、首を何度も落とされるのは何故だろう?
それでも、いつかは本当に死んでしまうのだろうか。その時はこれが本番だと教えてくれるのだろうか。
せめて、こんなことならせめて自分が死ぬ瞬間くらい知っておきたい。私の死ぬ瞬間を。どれだけ私が生きていたのかを。
『ああ、私の目の前に騎士は現れず、死神さまが現れました』
そう思った今、私はまた死んだ。
『ところが死神さまは私をなかなか殺してはくれません』
そしてまた私は死への道に立つ。
『となれば、私を助けてくれるはずだった騎士様に、私は殺されてしまうのでしょうか』
立ち止まり、
『
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